とりあふ/取り合ふ
「とりあふ」には
①
取り敢ふ(ハ行下二段活用)
②取り合ふ(ハ行四段活用)
などの用法があるが、ここでは「②取り合ふ」を扱う。
また「②取り合ふ」には、(1)ハ行四段活用と(2)ハ行下二段活用の活用がある。
(1)ハ行下二段活用
未然形 | とりあは |
連用形 | とりあひ |
終止形 | とりあふ |
連体形 | とりあふ |
已然形 | とりあへ |
命令形 | とりあへ |
■意味1:自動詞
相手になる、関わり合う。
[出典]:太平記
「この人ひとりかかる大社の訴訟にとりあうて」
[訳]: この人ひとりだけがこのような大社の訴訟に関わり合って...
■意味2:自動詞
調和する、釣り合う。
[出典]:子盗人
「これはこちらの道具とはとりあはぬ品ぢゃが...」
[訳]:これはこちらの道具とは調和しない品だが...
■意味3:他動詞
奪い合う。
[出典]:
留志長者のこと 宇治拾遺物語
「蔵ども皆開けて、かく宝ども皆人の
取り合ひたる...」
[訳]: 蔵をすべて開けて、このようにたくさんの宝を人々が
奪い合ったのは...
(2)ハ行下二段活用
未然形 | とりあへ |
連用形 | とりあへ |
終止形 | とりあふ |
連体形 | とりあふる |
已然形 | とりあふれ |
命令形 | とりあへよ |
■意味1:他動詞
調和させる、折り合わせる。
[出典]:少女 源氏物語
「青摺りの紙よく取り合へて...」
[訳]: 青摺りの紙をよく調和させて...