はかなげなり/果無げなり/果敢無げなり
このテキストでは、ナリ活用の形容動詞「
はかなげなり/果無げなり/果敢無げなり」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容動詞・ナリ活用
未然形 | はかなげなら | ◯ |
連用形 | はかなげなり | はかなげに |
終止形 | はかなげなり | ◯ |
連体形 | はかなげなる | ◯ |
已然形 | はかなげなれ | ◯ |
命令形 | はかなげなれ | ◯ |
■意味1
心細い様子、いかにも頼りない様子。
[出典]:
虫は 枕草子
「『今、秋風吹かむをりぞ来むとする。待てよ。』と言ひおきて、逃げて去にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりになれば、『ちちよ、ちちよ。』と
はかなげに鳴く、いみじうあはれなり。 」
[訳]:「間もなく秋風が吹いたらそのときに来ようとしている。(それまで)待っていなさいね。」と言い残して、逃げて行ってしまったことも知らずに、秋風の音を聞いて知って、八月ごろになると、 「父よ、父よ(乳よ、乳よ)」と
心細そうに鳴くのは、大変しみじみと心打たれる。
■意味2
たいしたことのない様子だ、一時的な様子だ。
[出典]:箒木 源氏物語
「はかなげに言ひなして、まめまめしく恨みたるさまも見えず。」
[訳]:たいしたことのない様子に言い繕って、本記で恨んでいる様子も見えない。