かきたる/掻き垂る
このテキストでは、古文単語「
かきたる/掻き垂る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「かきたる」には
①ラ行下二段活用
②ラ行四段活用
の用法があるが、重要性を考えてここでは「①ラ行下二段活用」のみを扱う。
①ラ行下二段活用
未然形 | かきたれ |
連用形 | かきたれ |
終止形 | かきたる |
連体形 | かきたるる |
已然形 | かきたるれ |
命令形 | かきたれよ |
■意味1:自動詞
雨雲や雪雲が垂れ込める、雨や雪が激しく降る。
[出典]:
道長の豪胆 大鏡
「花山院の御時に、五月下つ闇に、五月雨も過ぎて、いとおどろおどろしく
かきたれ雨の降る夜、帝、さうざうしとや思し召しけむ...」
[訳]:花山院の御代に、五月下旬の闇夜ですが、五月雨も過ぎ去って、(雨雲が)とても気味が悪く
垂れ込めて激しく雨が降る夜に、帝は物足りないとお思いになったのでしょうか...
■意味2:他動詞
(髪を)
櫛でといで垂らす。
[出典]:万葉集
「か黒し髪をま櫛持ちここにかきたれ...」
[訳]:まっ黒な髪を櫛でといでここまで垂らし...