いたる/至る
このテキストでは、ラ行四段活用の動詞「
いたる/至る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
ラ行四段活用
未然形 | いたら |
連用形 | いたり |
終止形 | いたる |
連体形 | いたる |
已然形 | いたれ |
命令形 | いたれ |
■意味1:自動詞
行き着く、到着する。
[出典]:
東下り 伊勢物語
「三河の国、八橋といふ所に
いたりぬ。」
[訳]:三河の国の、八橋というところに
行き着きました。
■意味2:自動詞
(ある時や地位に)
達する、やってくる。
[出典]:寸陰惜しむ人なし 徒然草
「命を終ふる期、忽ちに至る。」
[訳]:一生を終えるときは、すぐさまやってくる。
■意味3:自動詞
思い及ぶ、行く届く、関心を持つ。
[出典]:薄雲 源氏物語
「心の至る限りおろかならず思ひたまふるに...」
[訳]:心の思い及ぶ限りいい加減でなく存じておりますところに...
■意味4:自動詞
極まる、(境地に)達する。
[出典]:徒然草
「尋常ならぬさまなれども、人に厭はれず、よろづ許されけり。徳のいたれりけるにや。」
[訳]:(僧は)普通ではない様子であるが、人に嫌われず、万事が許されていた。(これは僧の)徳が(極限に)達していたからであろうか。