おそる/恐る/畏る/懼る
このテキストでは、古文単語「
おそる/恐る/畏る/懼る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
※「おそる」には、
①ラ行四段活用(上代)
②ラ行下二段活用(中古代の中頃から)
③四段活用(①〜②に変化する過程で表れた)
の用法がある。
①ラ行四段活用
未然形 | おそら |
連用形 | おそり |
終止形 | おそる |
連体形 | おそる |
已然形 | おそれ |
命令形 | おそれ |
■意味1:自動詞
怖がる、恐れを感じる、懸念する。
[出典]:宇治拾遺物語
「あやまたれなんとおそりおぼして...」
[訳]:殺されてしまうだろうと恐れお思いになって...
■意味2:自動詞
かしこまる、慎む、恐れはばかる。
②ラ行下二段活用
未然形 | おそれ |
連用形 | おそれ |
終止形 | おそる |
連体形 | おそるる |
已然形 | おそるれ |
命令形 | おそれよ |
■意味1:自動詞
怖がる、恐れを感じる、懸念する。
[出典]:
高名の木登り 徒然草
「目くるめき、枝危ふきほどは、己が
恐れ侍れば申さず。」
[訳]:(高さで)めまいがし、枝が(細く折れそうで)危ないうちは、(登っている人は)自分で
怖がりますから(気をつけなさいとは)申しません。
■意味2:自動詞
かしこまる、慎む、恐れはばかる。
[出典]:ある大福長者の 徒然草
「君のごとく神のごとくおそれ尊みて...」
[訳]:主君のように髪のように恐れはばかり尊敬して...
③ラ行四段活用
未然形 | おそら |
連用形 | おそり |
終止形 | おそる |
連体形 | おそる |
已然形 | おそれ |
命令形 | おそれ |
ラ行四段活用は、「ラ行上二段活用」から、「ラ行下二段活用」へと変化する過程で用いられたが、中世以降には「ラ行下二段活用」だけとなった。