ききいる/聞き入る
このテキストでは、古文単語「
ききいる/聞き入る」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
※「ききいる」には、
①ラ行四段活用
②ラ行下二段活用
の用法がある。
①ラ行四段活用
未然形 | ききいら |
連用形 | ききいり |
終止形 | ききいる |
連体形 | ききいる |
已然形 | ききいれ |
命令形 | ききいれ |
■意味1:自動詞
熱心に聞く、耳を澄まして聞く。
[出典]:
ふと心劣りとかするものは 枕草子
「若き人は、いみじうかたはらいたきことに
聞き入りたるこそ、さるべきことなれ。」
[訳]:若い人が、大変きまりが悪いこととして
耳を澄まして聞いているのは、当然のことです。
②ラ行下二段活用
未然形 | ききいれ |
連用形 | ききいれ |
終止形 | ききいる |
連体形 | ききいるる |
已然形 | ききいるれ |
命令形 | ききいれよ |
■意味1:他動詞
意識して耳に入れる。
[出典]:鳥は 枕草子
「鳶(とび)、鳥(からす)などのうへは、見入れ聞き入れなどする人、世になしかし。」
[訳]:鳶、烏などについては、意識して見、(鳴き声を)耳に入れなどする人は、世にはいないですよ。
■意味2:他動詞
承諾する、同意する、聞き入れる。
[出典]:
雪のおもしろう降りたりし朝 徒然草
「この雪いかが見ると一筆のたまはせぬほどの、ひがひがしからん人のおほせらるる事、
聞き入るべきかは。」
[訳]:この雪をどのように思うかと一言もおっしゃらない程度の、趣を理解しないような人のおっしゃることを、どうして
聞き入れることができるましょうか、いやできません。
■意味3:他動詞
聞き分ける。
[出典]:夕顔 源氏物語
「何の響きとも聞き入れたまはず...」
[訳]:何の音ともお聞き分けなさらず...