さながら/然ながら/宛ら
このテキストでは、古文単語「
さながら/然ながら/宛ら」の意味、解説とその使用例を記している。
副詞
■意味1
そのまま、もとのまま。
[出典]:
絵仏師良秀 宇治拾遺物語
「人の書かする仏もおはしけり。また、衣着ぬ妻子なども、
さながら内にありけり。」
[訳]:(家の中には、)人が(依頼して)描かせている仏様もいらっしゃいました。また衣服を着ていない(良秀の)妻や子なども、
そのまま家の中にいました。
■意味2
すべて、全部、ことごとく。
[出典]:
安元の大火 方丈記
「七珍万宝
さながら灰燼となりにき。」
[訳]:様々な貴重な財宝は
すべて灰となってしまった。
■意味3
まったく、全然。
※この用法の場合、下に打消の語を伴う。
[出典]:つれづれわぶる人は 徒然草
「人にまじはれば、言葉よその聞きに随ひて、さながら心にあらず。」
[訳]:人と交際すると、言葉が他人の見聞に左右されて、まったく(自分の)本心のままではない。
■意味4
まるで、あたかも。
[出典]:竹生島
「花はさながら白雪の降るか...」
[訳]:花はあたかも白雪が降っているか...