バロック文化の成立
16世紀にヨーロッパで盛んになったルネサンスですが、17世紀にはいると、芸術分野で
バロックがとって代わるようになります。
バロックというのは、ポルトガル語の「いびつな真珠」という意味で、16世紀後半から盛んになったものを言います。
バロック芸術の特徴は、壮麗、荘厳、華麗といった美術様式で、現在でもヨーロッパ各地に作品が残っています。
この時代になぜ、バロックが盛んになったのでしょう。
当時のヨーロッパは、
宗教改革によって新宗教が生まれ、旧教との争いが激しくなっていた時期です。
この状況に対して、カトリック教会による対抗宗教改革が盛んになり、絶対主義国家も確立していった時代でした。
この時代背景を考えると、芸術は
カトリックや絶対王政の権威を高めるために用いられた側面もありました。そのため、建築や絵画、音楽などさまざまな芸術分野で、壮麗・優美な作品が生み出されます。
以下、分野ごとにその作品と担い手をみていきましょう。
バロック絵画
絵画は、
壮麗な宮殿や教会などを彩る重要な美術品でした。バロック絵画の担い手となった画家を紹介します。
ルーベンス(1577~1640)
ルーベンスは
フランドル派と言われる画家の一人です。現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にまたがるフランドル地方を中心にした画家で、多くの絵画を残しました。
(『キリスト降架』 ルーベンス作)
ファン=ダイク(1599~1641)
ファン=ダイクは同じくフランドル派でしたが、イギリス宮廷のお抱え画家となり、
イギリス王室に関する多くの作品を残しました。
(『チャールズ2世の肖像画』 ファン=ダイク作)
レンブラント(1606~1669)
レンブラントは、フランドル派と対照的な
オランダ画派の画家です。当時の人々の様子を、光と影の陰影を新たな技法で表現し、近代絵画法を確立しました。
(『夜警』 レンブラント作)
フェルメール(1632~1675)
フェルメールもオランダ画派の一人で、庶民をモチーフにした作品を残しましたが、不遇の人生を送り、あまり多くの作品は残っていません。
(『真珠の耳飾りの少女』 フェルメール作)