しげし/繁し/茂し
このテキストでは、ク活用の形容詞「
しげし/繁し/茂し」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
形容詞・ク活用
未然形 | しげく | しげから |
連用形 | しげく | しげかり |
終止形 | しげし | ◯ |
連体形 | しげき | しげかる |
已然形 | しげけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | しげかれ |
■意味1
(草木が)
生い茂っている。
[出典]:万葉集 柿本人麻呂
「...春草のしげく生ひたる...」
[訳]:...春の草が茂り生えている...
■意味2
多い、たくさんある。
[出典]:
伊勢物語
「人
しげくもあらねど、たび重なりければ... 」
[訳]:人が
多いわけではありませんでしたが、(通いが)たび重なったので...
■意味3
絶え間ない、しきりに。
[出典]:
源氏物語 紫式部
「源氏の君は、御あたり去り給はぬを、まして
しげく渡らせ給ふ御方は、え恥ぢあへ給はず。 」
[訳]:源氏の君は、(父である帝の)おそばをお離れにならずにいらっしゃるので(帝の、複数いる奥方の部屋にも一緒に行くのですが)、帝が
しきりに通っていかれる方(藤壺)は、(源氏の君の前では)恥ずかしがって(ばかり)はいらっしゃれません。
■意味4
煩わしい、うるさい。
[出典]:
伊勢物語
「人目
しげければ、え逢はず。」
[訳]:人目が
多くうるさいので、逢うことができずにいます。