「おとなし/大人し」の意味・解説【形容詞シク活用】
このテキストでは、シク活用の形容詞「
おとなし/大人し」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
形容詞・シク活用
未然形 | おとなしく | おとなしから |
連用形 | おとなしく | おとなしかり |
終止形 | おとなし | ◯ |
連体形 | おとなしき | おとなしかる |
已然形 | おとなしけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | おとなしかれ |
■意味1
大人びている、成熟している。
[出典]:澪標 源氏物語
「十一になりたまへど、程より大きにおとなしう清らにて...」
[訳]:十一歳におなりになりましたが、年齢の割には大きく大人びて美しく...
※「おとなしう」は連用形「おとなしく」のウ音便。
■意味2
年配で思慮分別がある、年配で中心的な立場の者である。
[出典]:
丹波に出雲といふ所あり 徒然草
「上人、なほゆかしがりて、
おとなしく、物知りぬべき顔したる神官を呼びて...」
[訳]:上人はさらに(理由を)知りたいと思って、
年配で中心的な立場の者で、きっと物を知っていそうな顔つきの神官をよんで...
■意味3
穏やかだ、温和だ、素直だ。
[出典]:人のものを問ひたるに 徒然草
「うららかに言ひ聞かせたらんはおとなしく聞こえなまし。」
[訳]:率直に言い聞かせたならばきっと穏やかに聞こえただろうに。