土佐日記『門出』
このテキストでは、
土佐日記の一節『
門出』のうち、「二十三日。八木のやすのりといふ人あり」から始まる部分の品詞分解を記しています。
※土佐日記は平安時代に成立した日記文学です。日本の歴史上おそらく最初の日記文学とされています。作者である
紀貫之が、赴任先の土佐から京へと戻る最中の出来事をつづった作品です。
※前回のテキスト:
土佐日記『男もすなる日記といふものを〜』の品詞分解
品詞分解
※名詞は省略しています。
■二十三日。八木のやすのりといふ人あり。この人、国に必ずしも言ひ使ふ者にもあらざなり。これぞ、たたはしきやうにて馬のはなむけしたる。
二十三日。 | ー |
八木のやすのり | ー |
と | 格助詞 |
いふ | ハ行四段活用「いふ」の連体形 |
人 | ー |
あり。 | ラ行変格活用「あり」の終止形 |
こ | 代名詞 |
の | 格助詞 |
人、 | ー |
国 | ー |
に | 格助詞 |
必ずしも | 副詞または「副詞」必ず+副助詞「しも」 |
言ひ使ふ | ハ行四段活用「いひつかふ」の連体形 |
者 | ー |
に | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
も | 係助詞 |
あら | ラ行変格活用「あり」の未然形 |
ざ | 打消の助動詞「ず」の連体形「ざる」の撥音便の無表記 |
なり。 | 推定の助動詞「なり」の終止形 |
これ | 代名詞 |
ぞ、 | 係助詞 |
たたはしき | シク活用の形容詞「たたはし」の連体形 |
やう | ー |
に | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
て、 | 接続助詞 |
馬のはなむけ | ー |
し | サ行変格活用「す」の連用形 |
たる。 | 完了の助動詞「たり」の連体形 |
■守柄にやあらむ、国人の心の常として、「今は。」とて見えざなるを心ある者は恥ぢずになむ来ける。これは、物によりて褒むるにしもあらず。
守柄 | ー |
に | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
や | 係助詞 |
あら | ラ行変格活用「あり」の未然形 |
む、 | 推量の助動詞「む」の連体形 |
国人 | ー |
の | 格助詞 |
心 | ー |
の | 格助詞 |
常 | ー |
と | 格助詞 |
して、 | 接続助詞 |
「今 | ー |
は。」 | 係助詞 |
と | 格助詞 |
て | 接続助詞 |
見え | ヤ行下二段活用「みゆ」の未然形 |
ざ | 打消の助動詞「ず」の連体形「ざる」の撥音便の無表記 |
なる | 伝聞の助動詞「なり」の連体形 |
を、 | 接続助詞 |
心ある | ラ行変格活用「こころあり」の連体形または連語:名詞「心」+ラ行変格活用「あり」の連体形 |
者 | ー |
は、 | 係助詞 |
恥ぢ | ダ行上二段活用「はづ」の未然形 |
ず | 打消の助動詞「ず」の連用形 |
に | 格助詞 |
なむ | 係助詞 |
来 | カ行変格活用「く」の連用形 |
ける。 | 過去・詠嘆の助動詞「けり」の連体形 |
これ | 代名詞 |
は、 | 係助詞 |
物 | ー |
に | 格助詞 |
より | ラ行四段活用「よる」の連用形 |
て | 接続助詞 |
褒むる | マ行下二段活用「ほむ」の連体形 |
に | 断定の助動詞「なり」の連用形 |
しも | 副助詞 |
あら | ラ行変格活用「あり」の未然形 |
ず。 | 打消の助動詞「ず」の終止形 |