はじめに
太陽系の惑星は、太陽に近い順に
水星、
金星、
地球、
火星、
木星、
土星、
天王星、
海王星の8つです。ところが、2006年まではこの8つの惑星に加えて、「
冥王星」という星が太陽系の第9惑星として存在していました。
現在この冥王星は、惑星ではなく
準惑星というカテゴリに格下げされてしまっていますが、なぜ冥王星が太陽系の惑星からはずされてしまったのかについて説明したいと思います。
冥王星の発見
冥王星は1930年にその存在が明らかにされました。
当時の観測技術の未熟さも相まって、冥王星は地球と同等の質量をもつ惑星であると長く考えられていましたが、近年の科学技術の発達により、その評価は下方修正されていくことになります。
発見当時の望遠鏡では、冥王星を確認することがやっとだったのですが、技術が発達してきた1992年以降、冥王星に似た天体が数多く発見され始めました。その数は1000を超え、天文学者たちも、冥王星が本当に惑星であるのか、小天体ではないのか?と疑問を抱き始めました。
そこで彼らは、惑星の定義を明確に決めることにしたのです。
惑星の定義
2006年にチェコのプラハで開催された国際天文学連合総会で、天文学者は惑星を科学的に明確に定義しました。その定義とは
■(1)太陽の周りを回っていること
■(2)十分重く、重力が強いため丸いこと
■(3)その軌道周辺で圧倒的に大きく、他の同じような大きさの天体が存在しないもの
の3つです。
冥王星にとってネックとなったのは、(3)の定義でした。
実を言うと、2003年に冥王星の近くに冥王星よりも大きな天体「エリス」が発見されており、冥王星は惑星の定義に該当しなくなってしまっていたのです。
その結果、(3)に該当しないということで、冥王星は惑星から準惑星というカテゴリに格下げされてしまいました。
これが冥王星が惑星から格下げされてしまった一連の流れです。
ちなみに、この冥王星のように、太陽系の外に存在している天体を
太陽系外縁天体と言います。