十訓抄『安養の尼の小袖』
このテキストでは、
十訓抄の一節『
安養の尼上の小袖』(横川の恵心僧都の妹安養の尼のもとに〜)の品詞分解を記しています。
※
十訓抄は鎌倉中期の説話集です。編者は未詳です。
※現代語訳:
十訓抄『安養の尼上の小袖』のわかりやすい現代語訳と解説
品詞分解
※名詞は省略しています。
■横川の恵心僧都の妹、安養の尼上のもとに強盗入りて、あるほどの物具、みな取りて出でければ、尼上は紙衾といふものばかり、ひき着てゐられたりけるに、
横川 | ー |
の | 格助詞 |
恵心僧都 | ー |
の | 格助詞 |
妹、 | ー |
安養 | ー |
の | 格助詞 |
尼上 | ー |
の | 格助詞 |
もと | ー |
に、 | 格助詞 |
強盗 | ー |
入り | ラ行四段活用・連用形 |
て、 | 接続助詞 |
ある | ラ行変格活用「あり」の連体形 |
ほど | ー |
の | 格助詞 |
物具、 | ー |
みな | 副詞 |
取り | ラ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
出で | ダ行下二段活用・連用形 |
けれ | 過去の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
尼上 | ー |
は | 係助詞 |
紙衾 | ー |
と | 格助詞 |
いふ | ハ行四段活用・連体形 |
もの | ー |
ばかり | 副助詞 |
ひき着 | カ行上一段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
ゐ | ワ行上一段活用・未然形 |
られ | 尊敬の補助動詞・連用形 |
たり | 存続の助動詞・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
に、 | 接続助詞 |
■姉尼のもとに小尼上とてありけるが、走り参りて見れば、小袖を一つ落としたりけるを、「これを落として侍るなり。奉れ。」とて、持て来たりければ、
姉尼 | ー |
の | 格助詞 |
もと | ー |
に、 | 格助詞 |
小尼上 | ー |
とて | 格助詞 |
あり | ラ行変格活用・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
が、 | 格助詞 |
走り | ラ行四段活用「はしる」の連用形 |
参り | ラ行四段活用「まゐる」の連用形 |
て | 接続助詞 |
見れ | マ行上一段活用・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
小袖 | ー |
を | 格助詞 |
一つ | ー |
落とし | サ行四段活用・連用形 |
たり | 完了の助動詞・連用形 |
ける | 過去の助動詞・連体形 |
を | 格助詞 |
「これ | 代名詞 |
を | 格助詞 |
落とし | サ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
侍る | ラ行変格活用・連用形 |
なり。 | 断定の助動詞「なり」の終止形 |
奉れ。」 | ラ行四段活用「たてまつる」の命令形 |
とて、 | 格助詞(または格助詞「と」+接続助詞「て」 |
持て来 | カ行変格活用「もてく」の連用形 |
たり | 完了の助動詞・連用形 |
けれ | 過去の助動詞・已然形 |
ば、 | 接続助詞 |
■「それを取りてのちは、我が物とこそ思ひつらめ。主の心ゆかぬ物をばいかが着るべき。いまだ、よも遠くは行かじ。とくとく持ておはして取らせ給へ。」
「それ | 代名詞 |
を | 係助詞 |
取り | ラ行四段活用・連用形 |
て | 接続助詞 |
のち | ー |
は、 | 係助詞 |
我 | 代名詞 |
が | 格助詞 |
物 | ー |
と | 格助詞 |
こそ | 係助詞 |
思ひ | ハ行四段活用・連用形 |
つ | 強意の助動詞「つ」の終止形 |
らめ。 | 現在推量の助動詞・已然形 |
主 | ー |
の | 格助詞 |
心ゆか | カ行四段活用「こころゆく」の未然形 |
ぬ | 打消の助動詞「ず」の連体形 |
物 | ー |
をば、 | 連語:格助詞「を」+係助詞「ば」 |
いかが | 副詞 |
着る | カ行上一段活用「きる」の終止形 |
べき。 | 可能の助動詞「べし」の連体形 |
いまだ、 | 副詞 |
よも | 副詞 |
遠く | ク活用の形容詞「とほし」の連用形 |
は | 係助詞 |
行か | カ行四段活用「いく」の未然形 |
じ。 | 打消推量の助動詞「じ」の終止形 |
とくとく | 副詞 |
持 | タ行四段活用「もつ」の連用形「もち」の促音便無表記 |
て | 接続助詞 |
おはし | サ行四段活用「おはす」の連用形 |
て、 | 接続助詞 |
取らせ | サ行下二段活用「とらす」の連用形 |
給へ。」 | ハ行四段活用「たまふ」の命令形 |
と | 格助詞 |
あり | ラ行変格活用「あり」の連用形 |
けれ | 過去の助動詞「けり」の已然形 |
ば、 | 接続助詞 |