蜻蛉日記原文全集「それよりたつほどに」

著者名：古典愛好家

蜻蛉日記

それよりたつほどに

それよりたつほどに、雨風いみじくふりふぶく。三笠山(みかさやま)をさして行くかひもなく、ぬれまどふ人おほかり。からうしてまうでつきて、幣帛(みてぐら)たてまつりて、初瀬ざまにおもむく。飛鳥(あすか)に御灯明(みあかし)たてまつりければ、ただ釘貫(くぎぬき)に車をひきかけてみれば、木(こ)だちいとをかしきところなりけり。庭(には)きよげに井もいとのままほしければ、むべ、

「やどりはすべし」

といふらんと見えたり。いみじき雨いやまさりなれば、いふかひもなし。
　　　　
　　　　　　
　　　　　　
　　　　　

・蜻蛉日記原文全集「さて七八日許ありて初瀬へ出でたつ」

・蜻蛉日記原文全集「それよりたつほどに」

・蜻蛉日記原文全集「からうじて椿市にいたりて」

・平家物語原文全集「小教訓　２」

・蜻蛉日記原文全集「かみな月、例の年よりもしぐれがちなるころなり」

・枕草子　原文全集「日は/月は/星は/雲は」

・平家物語原文全集「東宮立」

・平家物語原文全集「阿古屋之松　２」

原文, 藤原道綱母, 蜻蛉日記,

長谷川政春,伊藤博,今西裕一郎,吉岡曠　1989年「新日本古典文学大系　土佐日記蜻蛉日記紫式部日記更級日記」岩波書店

The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/

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蜻蛉日記　原文全集(上)

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