新規登録 ログイン

5_80 世界の様々な地域 / 各国の名称と位置・大陸

「モロッコ王国」について調べてみよう

著者名: 早稲男
Text_level_1
マイリストに追加
モロッコ王国

モロッコ王国(通称モロッコ、英語ではKingdom of Morocco)は、アフリカ北部に位置しする立憲君主制の国家です。ジブラルタル海峡を挟んでスペインと向かい合う位置にあることから、アラブとヨーロッパの情緒を感じることができる国です。

このテキストでは、モロッコ王国の特徴を「国土」、「人口と人種」、「言語」、「主な産業」、「主な観光地」、「文化」、「スポーツ」、「日本との関係」の8つのカテゴリに分けて詳しく見ていき、同国の魅力や国際的な影響力について考えていきます。

1.国土

ALT

モロッコ王国は北アフリカに位置する国です。西は大西洋、北は地中海に面しており、その海岸線の長さはおよそ1,800キロメートルにも及びます。この地理的特徴から、モロッコは古くから地中海とアフリカ内陸の交通の要所として繁栄してきました。特に、ジブラルタル海峡を挟んでヨーロッパ大陸に近接しているため、地政学的にも重要な位置を占めています。

モロッコの面積は約44.7万平方キロメートル(領土問題が生じている西サハラを含めると約71万平方キロメートル)です。北部は地中海気候、内陸部は乾燥したステップ気候、そして南部は乾燥帯のサハラ砂漠という、非常に多様な気候区分を持っています。また、国内にはアトラス山脈が広がり、最も高い山はトゥブカル山(標高4,167メートル)で、登山やハイキングを楽しむ観光客に人気です。都市部としては首都ラバトや最大の商業都市カサブランカがあり、政治・経済の中枢を担っています。


2.人口と人種

モロッコの人口はおよそ3,700万人(2024年現在)と推定されており、その大半がアラブ系およびベルベル系の人々です。ベルベル人はこの地域に古くから住む先住民族であり、今日でも国内のさまざまな地域でベルベル文化が色濃く残っています。また、都市部にはフランス植民地時代の影響を受けたフランス系の住民や少数のユダヤ人コミュニティも存在しています。

人口は比較的若く、平均年齢は約30歳とされています。都市化が進んでおり、カサブランカ、ラバト、フェズ、マラケシュといった主要都市に多くの人々が集中しています。一方で、農村地域では伝統的な生活様式が今も続いており、特に南部の遊牧民や山岳地帯のベルベル人は独自の生活文化を維持しています。


3.言語

モロッコの公用語はアラビア語とアマジグ語(ベルベル語)です。アラビア語は学校教育や公式文書で使用される一方、アマジグ語は主にベルベル人が日常的に話す言語として知られています。2011年の憲法改正で、アマジグ語は正式にモロッコの公用語の一つとして認められ、現在では教育機関でも教えられています。

また、フランス語も広く使用されており、特にビジネスや外交、法律などの分野ではフランス語が一般的です。フランス語は植民地時代の名残として残っており、現在でもモロッコの多くの人々にとって日常的なコミュニケーション手段となっています。加えて、英語の需要も年々高まっており、特に若者の間では英語学習が盛んです。


4.主な産業

モロッコの主要産業は農業、観光業、鉱業、そして製造業です。特に、農業は国内の労働人口の約40%を雇用しており、オリーブ、果物、野菜が主要な作物です。農産物の輸出はヨーロッパ市場を主な対象としており、特にスペインやフランスとの貿易関係が強固です。

また、世界最大のリン鉱石の生産国としても知られています。鉱業分野では、リン鉱石に加えて鉄鉱石やマンガンなどの鉱物資源が豊富であり、これらは国内経済に重要な役割を果たしています。さらには自動車産業が近年急成長しており、特にルノーやPSAなどの欧州自動車メーカーがモロッコで生産拠点を設けています。加えて観光業もモロッコ経済の主要な柱であり、マラケシュやフェズといった歴史都市は主要な観光地です。


5.主な観光地

モロッコは豊かな歴史と文化を誇り、数多くの観光客が訪れます。特に、旧市街(メディナ)が世界遺産に登録されているマラケシュは人気です。この都市には、迷路のような市場(スーク)や、かつての王宮を改装した宮殿「バヒア宮殿」など、見どころが数多くあります。

他にも、アトラス山脈やサハラ砂漠を訪れる自然観光も盛んです。サハラ砂漠ではラクダに乗って砂丘を巡る体験や、夜の砂漠で星空を眺めるツアーが人気です。また、フェズの旧市街やラバトの城塞、さらにはカサブランカの巨大なハッサン2世モスクも観光客の間で有名です。


6.文化

モロッコの文化は、アラブ、ベルベル、そしてフランス、スペインといった多様な影響を受けて形成されています。イスラム教がモロッコの文化の中心であり、礼拝やラマダンといった宗教行事が重要視されています。しかし、モロッコは他宗教や他文化に対しても寛容であり、特にユダヤ教やキリスト教のコミュニティも長い歴史を持っています。

音楽や舞踊もモロッコの重要な文化要素であり、特に「グナワ音楽」というアフリカ系の伝統音楽が人気です。この音楽は宗教的な要素も持ち合わせており、サハラ砂漠をルーツとするリズムが特徴です。さらに、モロッコ料理もその多様性で知られており、クスクスやタジンといった伝統的な料理は世界中で親しまれています。


7.スポーツ

モロッコではサッカーが国民的スポーツとして広く親しまれています。モロッコ代表チームはアフリカの強豪国の一つとして知られ、FIFAワールドカップにも定期的に出場しています。特に、2022年カタール大会ではアフリカ勢として初のベスト4進出という歴史的快挙を成し遂げ、国内外で大きな話題となりました。

サッカー以外にも、陸上競技やテニス、バスケットボールも人気があり、特に陸上競技においては数々のオリンピックメダリストを輩出しています。モロッコはスポーツを通じた国際交流にも積極的であり、多くの国際大会を主催しています。


8.日本との関係

政治・経済関係

日本とモロッコの外交関係は、北アフリカと中東の安定を目指す日本の政策の一環として重要視されています。日本は、モロッコをアフリカにおける主要な経済パートナーとみなしており、両国は定期的に高官レベルの会談や首脳会談を通じて協力を強化しています。日本とモロッコは、自由で開かれた国際秩序の維持やテロ対策、気候変動などの国際的な問題でも協力しています。

経済面では、日本はモロッコにとって重要な貿易相手国の一つです。日本はモロッコから主にリン鉱石を輸入しており、モロッコは世界最大のリン鉱石の生産国の一つとして、日本の農業や化学工業に不可欠な資源を供給しています。また、自動車や電機製品などの日本製品がモロッコ市場で広く流通しており、特に自動車産業における協力は顕著です。2012年には、ルノー・日産アライアンスがモロッコに大規模な自動車工場を設立し、モロッコの経済成長に大きく貢献しています。

2. 文化交流

日本とモロッコの文化交流は、特に近年活発化しています。日本文化に対するモロッコの関心は年々高まっており、モロッコ国内では茶道や日本の伝統芸能、アニメやマンガなど、幅広い日本文化が紹介されています。日本文化をテーマとしたイベントやフェスティバルがモロッコ各地で開催されており、特に若者を中心に日本文化への関心が高まっています。

一方で、日本国内でもモロッコ文化に対する関心が高まりつつあります。モロッコの伝統工芸品や建築、音楽、料理(特にタジン料理やクスクス)は日本でも広く知られています。モロッコの伝統音楽や舞踊が日本のイベントで披露されることも増え、モロッコ文化が紹介される機会が増えています。

技術協力と開発援助

日本はモロッコに対して、技術協力や開発援助を通じて支援を行っています。特に、モロッコのインフラ整備や教育分野に対する支援が注目されています。日本の国際協力機構(JICA)は、モロッコにおける多くのプロジェクトを展開しており、農業技術の向上、環境保護、水資源管理などの分野で協力を行っています。例えば、モロッコにおける灌漑技術の向上や農業生産性の改善を目的としたプロジェクトが進行中であり、日本の農業技術や専門知識が提供されています。さらに、日本はモロッコのエネルギー分野でも支援を行っており、再生可能エネルギーの普及促進や、環境に配慮したエネルギー利用を支援しています。

4. 教育・人的交流

教育分野でも両国の協力が進んでいます。モロッコの学生が日本の大学や専門機関で学ぶための奨学金制度が整備されており、毎年多くのモロッコ人学生が日本に留学しています。特に、エンジニアリングや科学技術分野での教育協力が進んでおり、日本での学びを生かしてモロッコの発展に貢献している若者が増えています。

また、人的交流の一環として、日本の青年海外協力隊がモロッコで活動しており、教育、医療、農業などの分野で技術指導や現地支援を行っています。これにより、日本とモロッコの国民レベルでの友好関係が深まっています。

5. 観光業

観光分野でも、日本とモロッコの関係は活発です。モロッコは日本人観光客にとって人気のある旅行先であり、特にマラケシュやフェズのような歴史的都市やサハラ砂漠、アトラス山脈などが観光の目玉です。また、モロッコから日本を訪れる観光客も増加しており、日本の文化や自然に触れる機会が広がっています。

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
CIA World Factbook
世界銀行 (World Bank)
モロッコ王国 公式サイト
日本の外務省サイト
国際連合 (UN) 公式サイト

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 2,630 pt 
 役に立った数 0 pt 
 う〜ん数 0 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。