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蜻蛉日記原文全集「六月になりぬ」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

六月になりぬ

六月になりぬ。ついたちかけて長雨いたうす。見出だしてひとりごとに、

わがやどのなげきのしたばいろふかく うつろひにけりながめふるまに

などいふほどに、七月になりぬ。たえぬとみましかば、かりに来るにはまさりなましなど、思ひつづくるをりに、ものしたる日あり。ものもいはねばさうざうしげなるに、まへなる人、ありし下葉のことを、もののついでに、いひ出でたれば、ききてかくいふ。

をりならでいろづきにけるもみぢばは ときにあひてぞいろまさりける

とあれば、硯ひきよせて

あきにあふいろこそましてわびしけれ したばをだにもなげきしものを

とぞ書きつくる。



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・蜻蛉日記原文全集「六月になりぬ」

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The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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