イギリス産業革命で押さえておきたいポイント
※赤字部分が問題に出そうな部分です。赤色の暗記シートなどで隠して見てください。
産業革命とは
・
18世紀後半から、イギリスで
産業革命がおこった。産業革命は、技術革新に伴う生産技術の発達と、それに伴う産業・経済・社会の大変革のことである。
・イギリスで産業革命がはじまったのは、以下の理由からである。
①
16世紀以降の
重商主義政策や
マニュファクチュアの発達により、資本が蓄積されていった。
②
18世紀以降の
農業革命により技術革新がおこり、農村から都市に安価な
余剰労働力が流入した。
③
植民地戦争に勝利したことで、世界中に原料供給地と広大な市場を獲得した。
④
鉄・石炭などの資源を有していた。
⑤
科学・技術水準が高かった。
⑥
清教徒革命・ピューリタン革命などの
市民革命を経験し、王権や国家による経済活動への干渉が少なかった。
・18世紀のイギリスでは、四輪作法の
ノーフォーク農法や
第2次囲い込み(エンクロージャー)により、
農業資本家が地主から土地を借り受け、
農業労働者を雇う
資本主義的農業経営が確立し、
農業革命がおこった。その結果、土地を失った多くの農民が都市に流入するようになった。都市に流入した農民は
賃金労働者となり、産業革命が促進した。
・産業革命は、
毛織物工業に代わって繊維産業の中心となった
木綿工業から始まった。産業革命期には次のような技術革新がおこった。
発明年 | 発明者 | 発明品 |
1705年 | ニューコメン | 火力機関 |
1709年 | ダービー | コークス製鉄法 |
1733年 | ケイ | 飛び杼(ひ) |
1764年 | ハーグリーヴス | ジェニー紡績機 |
1769年 | ワット | 蒸気機関の改良 |
1769年 | アークライト | 水力紡績機の特許 |
1779年 | クロンプトン | ミュール紡績機 |
1784年 | コート | パドル製鉄法 |
1787年 | カートライト | 力織機 |
1793年 | ホイットニー | 綿繰り機 |
1807年 | フルトン | 汽船 |
1804年 | トレヴィシック | 蒸気機関車 |
1814年 | スティーヴンソン | 蒸気機関車改良 |
資本主義体制の確立
・絶対王政以降、王権と結びつき独占権を与えられていた貿易・問屋などの商人を
商業資本家というが、産業革命に伴い、工場・土地・機械など生産手段を元に商品生産を行う
産業資本家が現れた。
・
資本家とは、資本を元手に生産手段を所有し、労働者を用いて商品を生産し、利潤を得る人のことである。資本家が労働者を用いて利潤を追求する経済・社会システムを
資本主義体制という。
・一方、生産手段を持たない人々は
労働者階級と呼ばれ、資本家に雇用され賃金を支払われる生活をしていた。資本家階級と労働者階級は度々対立し、多くの
労働問題がおこった。
・イギリスでは
1799年と
1800年に
団結禁止法が制定されたが、1824年に廃止された。廃止後労働組合が各地で組織され、労働運動が活発になった。1811年から1817年にかけて、イギリス北部・中部で機械打ち壊し運動の
ラダイト運動がおこった。
・こうした諸問題に対し、
1833年、
ロバート=オーウェンや
シャフツベリー卿らにより
一般工場法が制定され、工場労働者の労働条件が定められた。産業革命の結果、
木綿工業都市マンチェスター、
製鉄・機械工業都市バーミンガム、
貿易港リヴァプールなど、各都市が発達した。
・19世紀のイギリスは圧倒的な工業力を有し「
世界の工場」とよばれ、また、軍事・経済的にもイギリスの力は巨大になり、
パックス=ブリタニカという安定期が訪れた。
・イギリスで成立した産業革命は世界に広がり、各国で以下のように進展した。
ベルギー | 1830年以降。繊維・製鉄・機械工業など。 |
フランス | 1830年の七月王政以降。労働力・資本が不足し、進展は緩やかであった。 |
ドイツ | 1834年の関税同盟締結後、1840年代以降。アルザス・ロレーヌを中心に重化学工業など。 |
アメリカ | イギリスに対抗した保護関税政策が始まり。北部で発達。木綿・金属機械工業など。 |
ロシア | 1861年の農奴解放以来、フランスの援助ではじまる。1890年代に重工業が発展。 |
日本 | 明治維新後、殖産興業政策が契機に。重工業など。 |