絶対値を含む不等式の証明
ここでは、絶対値を含む不等式の証明についてみていきます。
実数a、bについて、次の不等式を証明しなさい。また、等式が成り立つときはどのような場合かも答えなさい。
|a|+|b|≧|a+b|
不等式の証明
何これ?と思うかもしれませんが、
絶対値を含む不等式の証明方法はまず、"両辺を2乗して引き算する"ところから始めましょう。
■左辺の2乗
左辺を2乗すると
(|a|+|b|)²
=|a|²+2|a||b|+|b|²
=a²+2|ab|+b²
式の展開には次の2つの
絶対値の性質を用いました。
・|a|²=a²
・|a||b|=|ab|
■右辺の2乗
右辺を2乗すると
|a+b|²
=(a+b)²
=a²+2ab+b²
式の展開には次の絶対値の性質を用いました。
・|a+b|²=(a+b)²
■左辺-右辺
左辺-右辺
=a²+2|ab|+b²-(a²+2ab+b²)
=a²+2|ab|+b²-a²-2ab-b²
=2|ab|-2ab
=2(|ab|-ab)
ここで、次の
絶対値の性質について思い出してみましょう。
・
|x|≧x
xをabに置き換えると、"|ab|≧ab "であることがわかります。このことから
|ab|-ab≧0
2(|ab|-ab)≧0
がわかりますね。よって
(|a|+|b|)²≧|a+b|²
が成り立つことはわかりました。ここまでは、与えられた式の両辺を2乗した不等式を証明したにすぎないので、最後に
2乗をはずした不等式が本当に成り立つかを確認しなければなりません。そこで必要になるのが、次の性質です。
a²>b²0 ⇄ a>b
※なぜこうなるかは
こちら
2乗した数の大小関係と、2乗する前の大小関係は変わらないということですね。この性質から、
|a|+|b|≧|a+b|
が成り立つことがわかります。
等式が成り立つ場合
等式が成り立つ場合を調べるには、"2(|ab|-ab)≧0"に注目をします。
2(|ab|-ab)=0
が成り立つときに、与えられた式の等式が成り立ちます。
|ab|-ab=0
|ab|=ab
のときですね。