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枕草子 原文全集「見ぐるしきもの」

著者名: 古典愛好家
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見ぐるしきもの

見ぐるしきもの。衣のせぬい、肩よせて着たる。また、のけ頸したる。

例ならぬ人の前に、子おひて出できたるもの。

法師、陰陽師の、紙冠して祓(はら)へしたる。


色くろうにくげなる女の、鬘(かづら)したると、鬚がちにかじけやせやせなる男、夏、昼寝したるこそ、いと見ぐるしけれ。

なにの見るかひにて、さて臥いたるならむ。

夜などは、かたちも見えず、また、みなおしなべて、さることとなりければ、我はにくげなりとて、起きゐるべきにもあらずかし。

さて、つとめてはとく起きぬる、いとめやすしかし。

夏、昼寝して起きたるは、よき人こそ、いますこしをかしかなれ、ゑせかたちは、つやめき、寝腫れて、ようせずは頬ゆがみもしぬべし。

かたみにうち見かはしたらむほどの、生けるかひなさや。


やせ色くろき人の、生絹の単衣きたる、いと見ぐるしかし。
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・枕草子 原文全集「見ぐるしきもの」

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松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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