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枕草子 原文全集「心ゆくもの」

著者名: 古典愛好家
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心ゆくもの

心ゆくもの。よく書いたる女絵の、ことばをかしうつづけて多かる。物見のかへさに、のりこぼれて、おとこどもいと多く、牛よくやるものの車はしらせたる。白くきよげなる陸奥紙にいといと細う書くべくはあらぬ筆してふみ書きたる。うるはしき糸のねりたるあ合はせぐりたる。

調食(てうばみ)に、調多くうちいでたる。ものよくいふ陰陽師して、河原に出でて、呪詛(ずそ)の祓(はらへ)したる。夜、寝(お)きてのむ水。

つれづれなる折に、いとあまりむつまじくもあらぬ客人(まらうと)の来て、世の中の物語この比(ごろ)ある事の、をかしきも、にくきも、あやしきも、これかれにかかりて、おほやけわたくしおぼつかなからず、聞きよき程に語りたる、いと心ゆく心地す。

神寺などにまうでて物申さするに、寺は法師、社は禰宜(ねぎ)などの、暗からず、さはやかに、思ふほどにもすぎてとどこほらず聞きよく申したる。






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・枕草子 原文全集「心ゆくもの」

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渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館

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