はじめに
二回にわたってルネサンスの成立から活躍した芸術家を見て行きましたが、このテキストでは隆盛を誇ったルネサンスが衰退していった理由について説明します。
ルネサンス衰退の理由とは
さまざまな芸術家が活躍した華やかなルネサンスも次第に衰退へと向かいます。その理由はどんなものだったのでしょう。
新大陸の発見
まず一つ目の理由は、大航海時代の幕開けによって
新大陸が発見されたことにあります。地理上の発見とも言いますね。
これはもともと富を独占していた
イタリア商人に対し、
オランダや
スペイン、
ポルトガルなどの国々が新大陸を目指した結果によるものでした。独占的な富が、イタリアから次第に失われていったのです。
イタリア戦争
二つ目は、イタリア国内が戦争によって疲弊していったことです。
1494年から1559年に
イタリア戦争という大規模な戦争が国内で起こりました。
(パヴィアの戦い)
この戦争はイタリアの支配をめぐる神聖ローマ皇帝とフランス王の戦いで、それぞれ
ハプスブルク家と
ヴァロワ家の戦いでもありました。
1494年のフランス王
シャルル8世のイタリア侵入がきっかけでしたが、その後フランス王
フランソワ1世と神聖ローマ皇帝
カール5世との聞でイタリア各地で戦争が行われ、その結果、イタリアでのルネサンスは衰退を迎え、その後はアルプス以北の諸国に移っていきました。
ちなみにこのイタリア戦争、宗教的な結びつきに関係なく独仏が覇権争いをしたので、カトリックのフランソワ1世がイスラーム教国オスマン帝国の
スレイマン1世と軍事的な協定をむすび、カトリックのカール5世が宗教改革を行ったイギリスのへンリ8世と協定を結ぶなど、どちらの陣営もかなりの総力戦だったようです。
1559年の
カトー=カンブレジ条約でフランスがイタリアから撤退を約束し、戦争は終結を迎えます。