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枕草子 原文全集「菩提といふ寺に」

著者名: 古典愛好家
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菩提といふ寺に

菩提といふ寺に、結縁(けちゑん)の八講せしにまうでたるに、人のもとより、「とくかへり給ひね。いとさうざうし」といひたれば、蓮の葉の裏に

もとめてもかかる蓮(はちす)の露をおきて 憂世(うきよ)にまたはかへるものかは

と書きてやりつ。
まことにいと尊くあはれなれば、やがてとまりぬべくおぼゆるに、湘中(さうちう)が家の人のもどかしさも忘れぬべし。
                    
                     
                    
                    
                       
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・枕草子 原文全集「菩提といふ寺に」

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松尾聰,永井和子 1989年「完訳 日本の古典 枕草子」小学館
萩谷朴 1977年「新潮日本古典集成 枕草子 上」 新潮社
渡辺実 1991年「新日本古典文学大系 枕草子・方丈記」岩波書店

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