口語訳(現代語訳)
晏子は斉の宰相でした。出かけたときのこと。晏子の御(馬を扱う使用人)の妻が、門の間から夫の姿をうかがっていました。その夫は、宰相の御となって、大きな日よけを車にセッティングして、四頭の馬にむちをうって、意気揚々として得意げにしていました。
夫が外出から帰ってきたときのこと。その妻は、離婚をしたいと夫に願いでました。夫がその理由を聞いたところ、妻は次のように答えます。
「晏子様は、身の丈が六尺にも満たないのに、斉の国の宰相として、その名は諸侯にとどろいています。私が晏子様が出かけていくところを見たところ、思慮深そうでした。そして常に自分を謙っていらっしゃいます。あなたは、身の丈が八尺で、晏子様の使用人なのに、自分の意思でこれで満足だと思っています。私は、これが理由で離婚を求めているのです」と。
その後、夫は自ら謙るようになりました。
晏子はこれをあやしく思って、その御に理由を尋ねました。御は正直に答えました。これを聞いた晏子は、御を大夫に推薦したとのことです。
単語・文法解説
| 御 | 馬を扱う使用人 |
| 而 | 接続を表す置き字 |
| 大蓋 | 日よけとなる傘 |
| 策駟馬 | 策は鞭でうつ、駟馬は四頭の馬でひっぱる馬車 |
| 得 | 満足する |
| 尺 | 当時の長さで「1尺=約22~24cm」 |
| 妾 | 女性が自分を謙って呼ぶときに使う。ただ妾だと「めかけ」と読み、愛人の意味となる |
| 矣 | 文を強調するために使う置き字 |
| 大夫 | 役職の1つ。領地をもった貴族ぐらいの身分 |
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『晏子之御』テスト対策・テストで出題されそうな問題
著者情報:走るメロスはこんな人
学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。