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漢詩『秋風引』現代語訳・書き下し文と解説(形式や押韻など)

著者名: 走るメロス
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『秋風引』原文・現代語訳と解説

このテキストでは、劉禹錫が詠んだ漢詩『秋風引』の原文、書き下し文、わかりやすい現代語訳・口語訳とその解説(絶句、押韻、対句の有無など)を記しています。



白文(原文)

左から右に読んでください。

何 処 秋 風 至

(※1)蕭 蕭 送 雁 群

朝 来 入 庭 樹

(※2)孤 客 最 先 聞


書き下し文

何 処 秋 風 至
何れの処よりか秋風至る

蕭 蕭 送 雁 群
蕭蕭(せうせう)として雁群を送る

朝 来 入 庭 樹
朝来庭樹に入り

孤 客 最 先 聞
孤客最も先に聞く





現代語訳(口語訳)

何れの処よりか秋風至る
どこから秋風が吹いてくるのでしょうか。

蕭蕭(せうせう)として雁群を送る
もの寂しげに吹いて、雁の群れを送っています。

朝来庭樹に入り
(秋風が)今朝方庭の木々の間に吹き込んだのを、

孤客最も先に聞く
一人寂しい旅人(私)が最初に聞きつけたのです。



単語解説

(※1)蕭蕭もの寂しげな様子
(※2)孤客「一人寂しい旅人」と訳す





形式:五言絶句

4つの句からなる詩を絶句(ぜっく)といい、8つの句からなる詩を律詩(りっし)といいます。この漢詩では、「何処秋風至」を1句と考えます。秋風引は4つの句からなるので絶句です。

また、絶句のうち1つの句が5文字からなるものを五言絶句(ごごんぜっく)といい、1つの句が7字からなるもの七言絶句(しちごんぜっく)といいます。

以上から、秋風引は「五言絶句」となります。


押韻:暁・鳥・少

押韻(おういん)とは、漢詩を読んだ時に一定のリズムが出るように、同じ響きの言葉を句の最後に置くことです。例えばこの秋風引では、

群(Gun)、聞(Bun)

が該当します。カッコの中は日本語の音読みです。だいたいが日本語の音読みで判別することができますが、本来は、作者が生きた時代の発音で韻を踏んでいるかどうかを確認します。よって、日本語の音読みだけでは判別ができない押韻も存在します。

押韻にはルールがあります。五言絶句では、原則として第2句末と第4句末に同じ響きの言葉が置かれます。この春暁は例外で、第1句末、第2句末そして第4句末が押韻となっているので注意しましょう。




対句

なし。


著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店
『教科書 探求古典B 漢文編』 桐原書店

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