新規登録 ログイン

10_80 文章の読み解き / 文章の読み解き

論語 切磋琢磨『子貢曰、貧而無諂(貧しくして諂うことなく)』解説・書き下し文・口語訳

著者名: 春樹
Text_level_1
マイリストに追加
論語 切磋琢磨『子貢曰、貧而無諂(貧しくして諂うことなく)』解説・書き下し文・口語訳

中国の思想家孔子が述べたものを弟子たちがまとめたもの、それが論語です。

朱子学において「四書」と称される経典の一つが、儒教の教えを端的に表した経書です。その明快な内容により、初めて儒教に触れる人々の入門書として幅広く普及し、中国史上最も読まれた書籍の一つとなっています。

論語には、人の生き方や思考、道徳などに関する教えが詳細に記されており、現代のビジネスパーソンたちにも参考にされることが多いです。論語では、「仁・義・礼・智・信」という五つの美徳、または五つの常道が紹介されています。これらの美徳は、人々が生活する上で重要なものであり、目指すべきものであり、守るべきものとされています。

ここでは、論語の第1章「学而第一」の第15、「貧しくして諂うことなく」の解説をしています。この部分は。切磋琢磨という言葉のもとになった箇所です。

孔子が弟子の子貢と問答をしているシーンです。



白文

子貢曰、貧無諂、富而無驕、何如。

子曰、可也。若貧而樂、富而好禮者也。

子貢曰、詩云、如、如、其斯之謂與。

子曰、也、始可與言詩已矣、告諸往而知來者也。


書き下し文

子貢曰く、
『貧しくして諂う(へつらう)ことなく、富みて驕(おご)ることなきは何如。』

子曰く、
『可なり。未だ貧しくして道を楽しみ、富みて礼を好むものに若(し)かざるなり。』

子貢曰く、
『詩に云う。「切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し」と。それ斯れを謂うか。』

子曰く、
『賜や、始めて与に(ともに)詩を言うべきなり。諸(これ)に往(おう)を告げて来を知るものなり。』




現代語訳

子貢は孔子に質問をしました。
「貧しくてもへつらうことがなく、豊になってもおごることがないのはいかがでしょうか?」


孔子は答えます。
「良いと思う。しかし、貧しくても学問を好み、豊でも礼を全うする人には及ばないと思うよ。』


子貢はさらに質問します。
「詩経に、『切するが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し』と書いているのは、まさにこのことを言っているのでしょうか?」


孔子は答えます。
「子貢よ、それでこそ詩について一緒に語り合えるというものだよ。お前は一を聞いて十を理解する男だなぁ。(だから語り合える)」





置き字の1つ。読まずに、「~て」や「~だけれども」のように接続を表します。
やっかいなのは、順接と逆接、どちらの場合でも使われるという点です。見分け方は、文脈から判断するしかありません。


再読文字の1つ。「未(いま)だ~ず」と読みます。 「未」を「いまだ」と「ず」と違った読み方で2回読んでいますね。 意味は現代語と同じで、「まだ~していない」と訳します。ここでは「未若」で「いまだ~しかず」となっていますね。

切磋琢磨

この詩から切磋琢磨という言葉が生まれました。本来は装飾品を作るときの
切・・・材料を切り出す
磋・・・切り出した材料を磨き上げる
琢・・・石を加工する
磨・・・加工した石を磨き上げる

ことを指し、何事においても、自分をよりいっそう磨き上げることを指す言葉となりました。


子貢のこと。
Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
青空文庫http://www.geocities.co.jp/Berkeley/3776/rongo_index.html
『渋沢栄一 論語の読み方』三笠書房

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 51,162 pt 
 役に立った数 38 pt 
 う〜ん数 8 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。