論語とは
『論語』は、古代中国の哲学者・孔子の言行録であり、彼の教えや思想が記されています。直訳すると「論じる言葉」や「会話の語録」といった意味になります。
『論語』は、孔子の弟子や孫子などの記録を集め、後世に伝えられたものであり、その内容は孔子自身の教えや行動、また彼が周囲の人々と交わした対話や議論に関するものです。孔子の思想は、中国の伝統的な価値観や道徳原則の基礎となり、後の時代における中国の文化や政治体制の形成に大きな影響を与えました。
『論語』の中で孔子は、人間関係、倫理、教育、政治など幅広いテーマについて語ります。彼の思想は、礼儀や道徳の重要性、忠誠心、人間関係の構築、家族の大切さ、教育の重要性などを強調しています。また、政治においては、賢明な統治者の徳と能力、人民との信頼関係、公正な法制度の重要性などについても述べています。
『論語』は、現代でも中国や東アジアの国々で重要な教材として使われており、孔子の教えが広く尊重されています。孔子の思想は、個人の修養や人間関係の円滑化、社会の安定と発展に貢献することを目指しています。
『論語』の影響力は、中国にとどまらず、日本や韓国、ベトナムなどの東アジア諸国にも及んでいます。これらの国々では、孔子の教えが教育や道徳教育の基盤となり、伝統的な価値観や社会の秩序を維持するための重要な要素となっています。
総じて言えば、『論語』は孔子の教えや思想を集大成した文書であり、彼の哲学が東アジア社会において重要な役割を果たしてきたことを示しています。その中には、人間性や倫理、教育、政治などに関する深い洞察が含まれており、今日の社会においても価値ある教訓を提供しています。
論語 学而第一の第3-5の現代訳【原文】
3:子曰。巧言令色。鮮矣仁。
4:曾子曰、吾日三省吾身、為人謀而忠乎、与朋友交言而不信乎、伝不習乎。
5:子曰、道千乗之国、敬事而信、節用而愛人、使民以時。
【書き下し文】
3:子曰く、巧言令色、鮮なし仁。
4:曾子曰く、吾(われ)、日に三たび吾が身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか、朋友と交わりて信ならざるか、習わざるを伝うるか。
5:子曰く、千乗の国を導むるには、事を敬んで(つつしんで)信あり(まことあり)、用を節して人を愛し、民を使うに時を以ってす。
【現代語訳】
3:孔子がおっしゃいました。口先だけでうまいことを言ったり、うわべだけ愛想よくとりつくろったりするような人間は、本当の思いやりの心が少ないものです。
4:曾子がこうおっしゃいました。私は1日に3回我が身を振り返ります。
1つ目は人のために真剣に物事を考えてあげただろうかということ。
2つ目は友人と接するときに誠意を持っていられただろうかということ。
そして3つ目はまだ自分がきちんと理解できていないことを、受け売りで人に教えはしなかっただろうかということです。
5:孔子がおっしゃいました。戦車千台を持つような国を治めるためには次の3つが大切です。慎重に政策を選び、一度決めたことは実行にうつすこと。政に関わる費用を少なくして国民に還元すること。国民を仕事にかりだすときには農作業の時期とずらすようにすること。