漢文の中で人や属性を表す言葉の一覧
ここでは、漢文の中でよく出てくる、人を表す言葉(属性を表す言葉)についてまとめています。
漢文には人の属性を表す様々な単語が出てきますが、例えば聖人という概念は、異なる文化や宗教で使われる言葉であり、一般的に高潔な品性と他者に模範となるべき徳を備えた人物を指します。中国の漢文においては、儒教や仏教の意味で聖人という言葉が主に使われました。
儒教は孔子を始祖とする思想・信仰の体系であり、紀元前の中国に誕生し、東アジアの多くの国々に2000年以上も影響を与えてきました。儒教の教えには、仁・義・礼・智・信といった五常や、父子・君臣・夫婦・長幼・朋友といった五倫の重要性が含まれています。儒教は、個人の徳を修めて社会や政治を調和させることを目指し、道徳による政治と社会秩序の重要性を強調しました。論語や経書などの文献を重視する一面もあり、漢代以降には国教として定着し、宋明理学や清朝考証学などの流派が発展しました。
儒教の聖人としては、孔子や顔回・曾子・子思などの孔子の弟子たち、そして孔子の思想を発展させた孟子などが有名です。これらの人物は、東アジア各地の孔子廟において絵画や像として描かれ、儒教の道統を受け継ぐ存在として尊敬されています。また、宋代以降の儒学者や日本の中江藤樹なども、その学問と徳によって聖人として称されることがあります。
以下に、そのほかの属性を表す単語をまとめてみます。
単語 | 意味 | 備考 |
聖人(せいじん) | 知徳の優れた人格者のこと | 堯・舜・うのことを示すことが多い |
先王(せんのう) | 昔の偉い天子 | 聖人と同じ意味で使われる |
上(しょう) | 君主の呼び方 | - |
小子(しょうし) | 先生が生徒に、「お前たち」と呼びかけるときに使う | 二三子(にさんし)も同じ意味 |
丈夫(じょうふ) | 一人前の男性のこと | 大丈夫の語源 |
小人(しょうじん) | 人格がなく卑しい人間 | 対義語は君子 |
壮士 | 血気盛んな男性 | - |
長者 | 目上の人、年長の人 | - |
故人 | 旧友。昔の友達 | 亡くなった人のことではないので注意 |
子(し) | 先生を指す言葉 | 「子曰く」とよく使いますね |