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「帰り入らせ給はむことはあるまじく思して」の現代語訳・品詞分解・敬意の向き
著作名: 走るメロス
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「帰り入らせ給はむことはあるまじく思して」の現代語訳・口語訳・意味・品詞分解・敬意の向き

原文

...と粟田殿の騒がし申し給ひけるは、まだ帝出でさせおはしまさざりける先に、手づからとりて、春宮の御方にわたし奉り給ひてければ、帰り入らせ給はむことはあるまじく思して、しか申させ給ひけるとぞ。


現代語訳・口語訳・意味

...と粟田殿がせきたて申し上げられたわけは、まだ花山天皇がご出発にならなかった前に、(粟田殿が)自ら(神璽・宝剣を)取って、皇太子の御方にお渡し申し上げなさっていたので、(花山天皇が屋敷へと)お帰りになられるようなことがあってはならないとお思いになって、そのように申し上げなさったとのことです。


品詞分解

単語品詞敬意の向き
帰り入らラ行四段活用「帰り入る」の未然形
尊敬の助動詞「す」の連用形語り手→花山天皇
給は尊敬の補助動詞・ハ行四段活用「給ふ」の未然形語り手→花山天皇
婉曲の助動詞「む」の連体形
こと名詞
係助詞
あるラ行変格活用「あり」の連体形
まじく打消当然の助動詞「まじ」の連用形
思しサ行四段活用「思す」の連用形語り手→粟田殿
て、接続助詞


※「せ給は」で花山天皇への最高敬語(二重尊敬)。


主な出典

大鏡「花山院の出家」
「さりとて、とまらせ給ふべきやう侍らず。神璽・宝剣わたり給ひぬるには。」と粟田殿の騒がし申し給ひけるは、まだ帝出でさせおはしまさざりける先に、手づからとりて、春宮の御方にわたし奉り給ひてければ、帰り入らせ給はむことはあるまじく思して、しか申させ給ひけるとぞ。

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