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ティグリス・ユーフラテス川とは 世界史用語92 |
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著作名:
ピアソラ
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ティグリス川とユーフラテス川は、世界史において重要な役割を果たした川です。これらの川は、中東の中心部をほぼ平行に流れ、メソポタミア(ギリシャ語で「川の間の地」という意味)と呼ばれる地域を形成しました。この地域は、文明の発祥の地のひとつであり、最初の文字を持つ都市文明がウルク時代に現れました。この理由から、この地域は「文明のゆりかご」とも呼ばれます。
ティグリス川とユーフラテス川は、東トルコの山地に源を発し、北シリアとイラクの高地を通って、ペルシャ湾の先端に至ります。ユーフラテス川の全長は約2,800キロメートル、ティグリス川の全長は約1,900キロメートルです。これらの川は、上流、中流、下流の三つの部分に分けて考えることができます。上流部は、川が源流から海抜1,800メートルから3,000メートルの高さにある渓谷や峡谷を下っていく部分です。中流部は、北シリアとイラクの高地を横切る部分で、海抜は370メートルから50メートルの間で変化します。下流部は、両川が共に作り出した沖積平野に沿って蛇行する部分です。イラクの南東部のアル・クルナで、両川はシャット・アル・アラブ川となって合流し、海に注ぎます。
これらの川は、農業、交易、商業の発展に不可欠な水源でした。山地からの雪解け水によって春には洪水が起こり、低地に恒久的な湖や湿地、河岸林を形成しました。これらの水域は、多様な動植物の生息地となり、人間の生活にも豊かな資源を提供しました。また、川は船での移動や物資の輸送にも利用され、文化や技術の交流にも寄与しました。
川沿いには、多くの都市や王国が栄えました。最初に現れたのは、紀元前4千年紀に始まるシュメール文明です。シュメール人は、灌漑システムや楔形文字、都市国家、神殿、法典などを発明しました。シュメール文明に続いて、アッカド人、バビロニア人、アッシリア人などがこの地域を支配しました。これらの文明は、文学、芸術、科学、宗教、政治などにおいて高度な成果を残しました。また、エジプト、ヒッタイト、ペルシア、ギリシャ、ローマなどの周辺の大国とも関係を持ち、戦争や同盟、外交や貿易などを通じて影響を与え合いました。
ティグリス川とユーフラテス川は、世界史において、人類の文明の発展に大きく寄与した川であると言えます。これらの川は、水と土壌の豊かさをもたらし、人々の生活を支え、文化や知識の交流を促進しました。
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