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アトンとは 世界史用語149 |
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著作名:
ピアソラ
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アトンとは、古代エジプトの宗教で太陽の円盤を象徴する神で、第3王朝からラーの一面として崇拝されていました。アトンは太陽の光を人間の手に変えて地上に降り注ぎ、万物に生命を与えると考えられていました。アトンは、第18王朝のアメンホテプ4世(後のアクエンアテン)の時代に、唯一神として国家の公式宗教となりました。これはアテン教と呼ばれる革新的な宗教改革で、アクエンアテンはアトン以外の神々を否定し、アトンのみを信仰するように命じました。アクエンアテンは、アトンの中心地としてアケトアテン(現在のテル・エル・アマルナ)という新しい都市を建設し、そこに大アトン神殿や小アトン神殿などの礼拝施設を設けました。
アトン教の最も重要な文献は、アトン讃歌と呼ばれる賛美歌で、アケトアテンの墓にいくつかのバージョンが刻まれています。この讃歌は、自然界とアトンの恵みに焦点を当てた内容で、太陽の出現に始まります。
「あなたが東の地平線に昇るとき、あなたは世界を美しくしてくださいます。
あなたは自分自身であるアトンとして、生きている者のために生まれました。
あなたが昇るとき、あなたは彼らのために喜びをもたらします。
あなたが輝くとき、彼らはあなたのために手を挙げます。
あなたが西の地平線に沈むとき、彼らはあなたのように眠ります。
あなたは彼らの母であり、彼らはあなたの子供です。
あなたは彼らの目であり、彼らはあなたの光です。
あなたは彼らの父であり、彼らはあなたの種です。」
讃歌は続けて、アトンが母親の胎内で子供を作り、男性に種を与え、すべての生命を創造したと述べます。アトンは人種や性質や言語や肌の色を区別し、すべての者の必要を満たします。アトンはエジプトにナイルを、外国には天のナイルとして雨を作りました。アトンは一日の時間や見る場所によって千万の姿を持ちますが、常に同じ存在です。アトンを完全に知り理解しているのは、アクエンアテンとその妻ネフェルティティだけだと言われています。
アトン讃歌は、そのイメージや表現が旧約聖書の詩篇104篇(「わが魂よ、主をほめたたえよ」)と似ているとして、比較されることがあります。アクエンアテンは、アトンの崇拝に没頭し、アモンやその他の神々の像や名前をすべて消し去り、時には神々という言葉さえも消しました。しかし、アトン教はアクエンアテンの死後にエジプトのエリート層によって拒絶され、一般の人々もおそらく最初から受け入れていなかったと考えられています。アクエンアテンの死後、第18王朝の後継者の一人であるツタンカーメンは、他のエジプトの神々の国家神殿を再開し、アモンを最高の太陽神として復活させました。アトン教は完全な一神教ではなかった(アクエンアテン自身が神と見なされていたため)し、ユダヤ教などの一神教の直接的な先駆者でもありませんでした。
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