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宇治拾遺物語「留志長者のこと」(憎しと思しけるにや〜)のわかりやすい現代語訳と解説 |
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著作名:
走るメロス
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このテキストでは、宇治拾遺物語に収録されている「留志長者のこと」(憎しと思しけるにや、留志長者が形に化し給ひて〜)の現代語訳・口語訳とその解説をしています。
※前回のテキスト:「留志長者のこと」(今は昔、天竺に、留志長者とて〜)の現代語訳と解説
憎しと思しけるにや、留志長者が形に化し給ひて、かの家におはしまして、
とて、蔵どもを開けさせて、妻子をはじめて従者ども、それならぬよその人ども、修行者乞食に至るまで、宝物どもを取り出だして、配り取らせければ、皆々喜びて、分け取りけるほどにぞ、誠の長者は帰りたる。
蔵ども皆開けて、かく宝ども皆人の取り合ひたる、あさましく、悲しさ、いはむ方なし。
「いかにかくはするぞ。」
とののしれども、我とただ同じ形の人出で来てかくすれば、不思議なる事限りなし。
「あれは変化の者ぞ。我こそ、そよ。」
と言へども、聞き入るる人なし。
※つづき:「留志長者のこと」(帝に憂へ申せば〜)のわかりやすい現代語訳と解説
(帝釈天は)気にくわないとお思いになったのでしょうか、留志長者の姿に変化なさって、あの家においでになり、
「私は、山で物をもったいないと思う神をまつった霊験だろうか、その神が離れて、(もはや)物を惜しいとは思わないので、このようにするのだ。」
といって、蔵を開けさせて、妻子をはじめ従者たち、それ以外の外部の人たち、修行者や乞食に至るまで、宝物を取り出して、配り与えたので、皆喜んで、分けて取っていたときに、本物の長者が帰ってきました。
蔵をすべて開けて、このようにたくさんの宝を人々が奪い合ったのは、(長者にとって)驚きあきれることで、その悲しさは、言いようのないものです。
「どうしてこんなことをしているのか。」
と怒鳴り散らしても、自分とまるで同じ姿の人が現れてこのようにするので、不思議なことこの上ありません。
「あれは変化の者だ。私が、その(本物の)人だ。」
と言えども、耳をすまして聞く人はいません。
※つづき:「留志長者のこと」(帝に憂へ申せば〜)のわかりやすい現代語訳と解説
※「留志長者のこと」(憎しと思しけるにや〜)の品詞分解
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