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蜻蛉日記原文全集「かくてふるほどに」
著作名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

かくてふるほどに

かくてふるほどに、その月のつごもりに、

「小野宮の大臣(おとど))かくれ給ひぬ」


とて、世はさわぐ。ありありて、

「世の中いとさわがしかなれば、つつしむとて、え物せぬなり。服になりぬるを、これらとくして」


とはある物か。いとあさましければ、

「このごろ、物するものども、里にてなん」


とて、返しつ。これにまして心やましきさまにて、たえて言づてもなし。さながら六月になりぬ。                  
                                 



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