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徒然草『或者、子を法師になして/一事を必ず成さんと思はば』 わかりやすい現代語訳(口語訳)と解説 |
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著作名:
走るメロス
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このテキストでは、徒然草の一節「或者、子を法師になして」の「一事を必ず成さんと思はば」から始まる部分の原文、現代語訳・口語訳とその解説を記しています。
※冒頭部分「或者、子を法師になして〜」の現代語訳はこちら
※徒然草は兼好法師によって書かれたとされる随筆です。清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』と並んで「古典日本三大随筆」と言われています。
一事を必ず成さんと思はば、他の事の破るるをも傷むべからず、人の嘲りをも恥づべからず。万事に換へずしては、一の大事成るべからず。人の数多ありける中にて、或者、
と語りけるを、登蓮法師、その座に侍りけるが、聞きて、雨の降りけるに、
と言ひけるを、
と人の言ひければ、
とて、走り出でて行きつつ、習ひ侍りにけりと申し伝へたるこそ、ゆゆしく、(※5)有難う覚ゆれ。
とぞ、論語と云ふ文にも侍るなる。この薄をいぶかしく思ひけるやうに、一大事の因縁をぞ思ふべかりける。
【売子木】あなたは読める?難読地名の読み方と由来
ひとつのことを必ず成し遂げようと思うのであれば、その他のことが途中で成り立たなくなるのをも嘆いてはならないし、人が馬鹿にすることをも恥じてはいけない。あらゆることと引き換えにしなければ、第一にすべき重大なことが成就するはずがない。人がたくさんいた中で、とある者が、
「(和歌では)ますほのすすき(といったり)、まそほのすすきなどと言ったりする事がある。渡辺の聖が、この事を伝え聞いて知っている。」
と言ったのを、登蓮法師が、その場におったのが、耳にして、(そのとき)雨が降っていたのだが、
「蓑笠はありますか。(あれば)お貸しください。そのすすきのことを学びに、渡辺の聖人のもとへ訪ねに参りましょう。」
と言ったのを、
「あまりにもせっかちだ。雨がやんでから(にしたらよいではないですか)。」
と人が言ったところ、(登蓮法師は)
「まったくひどいことをおっしゃることよ。人の命は雨の間に晴れが広がるのを待ってはくれない。私が死んで、聖人も死んでしまったら、(誰が)訪ねて問うというのか。」
と言って、走り出て行き、学んで参りましたと(他の人に詳細を)取り次いで申し上げていることは、恐れ多く、立派に思われる。
「動作が素早い時は、たちまち成功する。」
と、論語という文にも(記載が)ある。このすすきを知りたいと思ったように、第一にすべき重大なこと(悟りをひらく機縁)を思うべきであった。
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