「みをすつ/身を捨つ/身を棄つ」の意味・活用・使用例【連語】
このテキストでは、古文単語「
みをすつ/身を捨つ/身を棄つ」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
成り立ち
名詞「身」と格助詞「を」、そしてタ行下二段活用の動詞「
すつ/捨つ/棄つ」が一語になったもの。「みをすつ」を一つの動詞とした場合の活用は以下のとおり。
未然形 | みをすて |
連用形 | みをすて |
終止形 | みをすつ |
連体形 | みをすつる |
已然形 | みをすつれ |
命令形 | みをすてよ |
■意味1
身体を投げ出す、ひれふす、一心不乱になる。
[出典]:
門出 更級日記
「『京にとく上げたまひて、物語の多く候ふなる、ある限り見せたまへ。』と、
身を捨てて額をつき、祈りまうすほどに...」
[訳]:「(私を)京に早く上らせてくださって、物語が多くございますと聞くのを、この世にある限りお見せください。」と、
ひれ伏して額をつけて、お祈り申し上げているうちに...
■意味2
出家する、世間から身を引く、世を捨てる。
[出典]:若菜下 源氏物語
「もろともに身を捨てむも、惜しかるまじき齢どもになりにたるを...」
[訳]:(女君たちは光源氏と)一緒に出家するのも、惜しくはない年齢になっているのことを...
■意味3
(魂や心などが)
肉体から離れる。
[出典]:
葵 源氏物語
「あな心憂や、げに
身を捨ててや往にけむ。」
[訳]:あぁ心苦しいことよ、なるほど(魂が)
体を離れて出て行ったのでしょう。