「あそばす/遊ばす」の意味・活用・使用例【連語/サ行四段活用】
このテキストでは、古文単語「
あそばす/遊ばす」の意味、活用、解説とその使用例を記している。
「あそばす/遊ばす」には
①連語
②サ行四段活用
の用法がある。
①連語
上代の用法。バ行四段活用の動詞「あそぶ」の未然形「あそば」と上代の尊敬の助動詞「す」が一語になったもの。
■意味
歌・楽器・狩りなどをなさる。
[出典]:万葉集
「大御手に取らしたまひてあそばししわが大君を...」
[訳]:(弓を)手に持たれて狩りをなさった我が君を...
②サ行四段活用
未然形 | あそばさ |
連用形 | あそばし |
終止形 | あそばす |
連体形 | あそばす |
已然形 | あそばせ |
命令形 | あそばせ |
■意味1:他動詞
(「
あそぶ/遊ぶ」の尊敬語で)
歌・楽器・狩りなどをなさる。
[出典]:
競べ弓 大鏡
「帥殿の、南院にて人々集めて弓
あそばししに...」
[訳]:帥殿(藤原伊周)が、(藤原道隆=伊周の父親がいる)南院で人々を集めて弓の競射を
なさったときに...
■意味2:他動詞
(「なす/為す」の尊敬語で)
お~になる、なさる。
[出典]:道隆 大鏡
「久しく双六つかまつらで、いとさうざうしきに今日あそばせ。」
[訳]:長い間双六をいたさず、張り合いがないので今日は(双六を)なさいませ。
■意味3:補助動詞
(「お/ご」+動詞の連用形または名詞に付いて)
お~になる、なさる。
[出典]:女殺油地獄 近松門左衛門
「あれへお通りあそばせ。」
[訳]:あちらへお通りになってください。