ボロブドゥールとは
ボロブドゥール寺院は、インドネシアのジャワ島中部に位置する世界最大級の仏教寺院であり、シャイレンドラ朝の時代に建設されました。この壮大な遺跡は、仏教の宇宙観を象徴するマンダラの形状を持ち、仏教にとって重要な巡礼地となっています。
歴史的背景
ボロブドゥール寺院は、シャイレンドラ朝の支配下にあった8世紀から9世紀にかけて建設されました。この時期、シャイレンドラ朝は大乗仏教を信仰しており、ボロブドゥールはその宗教的中心地として機能しました。寺院の建設は8世紀後半から9世紀初めにかけて完成しました。
建築と構造
ボロブドゥール寺院は、マンダラの形状を持つピラミッド型の構造で、9層のテラスから成り立っています。下部の6層は方形で、上部の3層は円形です。これらのテラスは、仏教の三界(欲界、色界、無色界)を象徴しています。
カーマダートゥ(欲界): 最下層のテラスは、欲望と煩悩に満ちた現世を表しています。この層には、カルマの法則を描いた160のレリーフが隠されています。
ルーパダートゥ(色界): 中間の四層は、物質的な世界から解放された状態を表しています。ここには、仏陀の生涯や教えを描いたレリーフが多数存在します。
アールーパダートゥ(無色界): 最上部の三層は、物質的な形を超越した精神的な世界を表しています。ここには、72の小さなストゥーパが配置され、その中には仏像が納められています。
彫刻とレリーフ
ボロブドゥール寺院の壁面には、約2600枚のレリーフが彫られており、仏教の教えや仏陀の生涯を描いています。これらのレリーフは、当時のジャワの芸術と技術の高さを示しています。特に、ジャータカ物語やアヴァダーナ物語など、仏教の経典に基づく物語が詳細に描かれています。
発見と修復
ボロブドゥール寺院は、14世紀頃に放棄され、その後ジャングルに埋もれてしまいました。1814年、イギリスのトーマス・スタンフォード・ラッフルズによって再発見されましたが、本格的な修復が行われたのは20世紀に入ってからです。特に、1975年から1982年にかけてユネスコの支援を受けて大規模な修復が行われ、現在の姿に復元されました。
文化的意義
ボロブドゥール寺院は、インドネシアの文化遺産としてだけでなく、世界的な仏教遺産としても重要です。その建築と彫刻は、仏教の教えを視覚的に表現しており、訪れる人々に深い感銘を与えます。また、ボロブドゥールは、インドネシアの文化的なシンボルとしても広く認識されています。