パガン朝とは　わかりやすい世界史用語852

パガン朝（パガン王朝）は、ミャンマー（旧ビルマ）の歴史において重要な役割を果たした王朝であり、1044年から1299年にかけて存在しました。この王朝は、ミャンマーの文化、宗教、政治の基盤を築き上げ、ミャンマーの歴史に大きな影響を与えました。


パガン朝は、1044年から1299年にかけて成立しました。パガンは、イラワジ川の中流域に位置し、農業と交易の中心地として発展しました。初期のパガン朝は、ピュー族やモン族などの先住民族との交流を通じて、文化や技術を取り入れました。




パガン朝の最初の重要な王は、アノーヤターです。彼は1044年に即位し、パガン朝の基盤を固めました。アノーヤターは、南方のモン族のタトゥン王国を征服し、モン族の文化や仏教を取り入れました。彼の治世下で、上座部仏教が国教として確立され、仏教寺院やパゴダが多数建設されました。


アノーヤターの後を継いだチャンシッター王は、内政と外交の両面で優れた統治を行いました。彼は灌漑システムを整備し、農業生産を向上させました。また、クメール王朝との戦いで勝利を収め、パガン朝の領土を拡大しました。シードゥー王は、さらに領土を拡大し、パガン朝の最盛期を築きました。


ナラパティシードゥー王の治世は、パガン朝の最盛期と同時に衰退の始まりでもありました。彼の治世下で、パガン朝はモンゴル帝国の侵攻を受けました。1287年、モンゴル軍によってパガンは陥落しました。この出来事は、パガン朝の終焉を意味しました。


パガン朝は、仏教文化の中心地として知られています。特に、バガンには数千の仏教寺院やパゴダが建設され、その多くが現在も残っています。これらの建造物は、当時の建築技術や芸術の高さを示しています。パガン朝の仏教は、上座部仏教を中心とし、同時にヒンドゥー教やアニミズムの影響も受けていました。


パガン朝の経済は、農業と交易に依存していました。イラワジ川流域の肥沃な土地を利用した稲作が主要な産業であり、灌漑システムの整備によって生産性が向上しました。また、パガンは交易の中心地としても繁栄し、中国やインド、東南アジア諸国との交易が盛んに行われました。


パガン朝の衰退は、内部の権力闘争と外部からの侵攻によって引き起こされました。特に、モンゴル帝国の侵攻は決定的な打撃となりました。1287年のモンゴル軍の侵攻により、パガンは陥落し、王朝は事実上滅亡しました。その後、ミャンマーは分裂状態に陥り、複数の小王国が乱立する時代が続きました。


パガン朝の遺産は、現代のミャンマーにおいても重要な位置を占めています。特に、バガンの遺跡群は、ミャンマーの歴史と文化を象徴するものです。また、パガン朝の時代に確立された上座部仏教は、ミャンマーの主要な宗教として信仰されました。