エフタルとは　わかりやすい世界史用語820

エフタルは、5世紀から6世紀にかけて中央アジアに存在した遊牧国家であり、歴史的に重要な役割を果たしました。彼らは「白いフン族」とも呼ばれ、インドやペルシアの歴史に大きな影響を与えました。


エフタルの起源については諸説ありますが、中国の史書によれば、彼らは元々グレートウォールの北に住んでいた部族でした。彼らはバクトリアを拠点とし、東はタリム盆地、西はソグディアナ、南はアフガニスタンを経てヒンドゥークシュ山脈まで勢力を拡大しました。


エフタルは高度な軍事力を持ち、サーサーン朝ペルシアやグプタ朝インドと頻繁に戦いました。特に484年の戦いでは、サーサーン朝のペーローズ1世を打ち破り、その勢力を大きく削ぎました。彼らの軍事力は、騎馬戦術と弓術に優れていたことが一因とされています。


エフタルは多様な文化と宗教を受け入れていました。彼らの支配下には、バクトリア語、ソグディアナ語、プラークリット語、トルコ語などが話されていました。宗教的には、ヒンドゥー教、マニ教、ゾロアスター教が信仰されていました。


エフタルは中央アジアの交易路を支配し、その経済は非常に繁栄していました。彼らはシルクロードを通じて東西の交易を盛んに行い、多くの富を蓄えました。特に、絹や香辛料、宝石などの高価な商品が取引されていました。


エフタルの勢力は6世紀中頃に衰退し始めました。突厥とササン朝の連合軍に敗れ、その後10年以内に完全に滅亡しました。その領土は最初はアム川を境に突厥とササン朝の間で分割されましたが、最終的には全域が突厥の支配下に入りました。

エフタルは、短期間ではありますが、中央アジアの歴史において重要な役割を果たしました。彼らの軍事力、文化的多様性、経済的繁栄は、後世に大きな影響を与えました。エフタルの歴史を通じて、中央アジアの複雑な歴史と文化の一端を垣間見ることができます。