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百人一首44『逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし』現代語訳と解説

著者名: 走るメロス
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百人一首(44)藤原朝忠/歌の意味と読み、現代語訳、単語、品詞分解、覚え方

逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし


このテキストでは、百人一首に収録されている歌「逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし」のわかりやすい現代語訳・口語訳と解説(句切れの有無など)、歌が詠まれた背景や意味、そして品詞分解を記しています。この歌は、百人一首の他に、拾遺和歌集にも収録されています。



百人一首とは

百人一首は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活動した公家・藤原定家が選んだ和歌集です。100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んで作られています。百人一首と言われれば一般的にこの和歌集のことを指し、小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)とも呼ばれます。


暗記に役立つ百人一首一覧

以下のテキストでは、暗記に役立つよう、それぞれの歌に番号、詠み手、ひらがなでの読み方、そして現代語訳・口語訳を記載し、歌番号順に一覧にしています。

暗記に役立つ百人一首一覧


原文

(※1)逢ふことの (※2)絶えてしなくは (※3)なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし


ひらがなでの読み方

あふことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをもうらみざらまし



現代語訳

契ることが絶対にないものならば、かえって、(つれない)あの人のことや(そっけない態度をとられ悲しく思う自分の)身をも恨むことはしないだろうに。


解説・鑑賞のしかた

この歌の詠み手は、藤原朝忠(ふじわら の あさただ)です。平安時代中期の公家・歌人で、三十六歌仙の一人です。

拾遺和歌集の詞書によるとこの歌は、宮中で開かれた歌合せ(天徳内裏歌合)の際に詠まれたものです。気になっている人がいるのだけど、その人はいつもそっけない。向こうに全く気がないのなら、そっけない態度をとるあの人のことも、そしてそれを悲しく思う自分のことも恨むことはしないだろうに、たまに思わせぶりな態度をとってくるものだから気になってしょうがない。そんな恋愛の駆け引きを詠んだ歌です。


主な技法・単語・文法解説

単語

(※1)逢ふハ行四段活用「あふ」の連体形。「男女が契る」の意味。
(※2)絶えて副詞。下に打消の語を伴って、「まったく〜(ない)」や「少しも〜(ない)」と訳す。
(※3)なかなかにナリ活用の形容動詞「なかなかなり」の連用形。「かえって」や「なまじっか」の意。



句切れ

なし。


品詞分解

※名詞は省略しています。



逢ふハ行四段活用「あふ」の連体形
こと
格助詞
絶えて副詞
副助詞
なくク活用の形容詞「なし」の未然形
接続助詞
なかなかにナリ活用の形容動詞「なかなかなり」の連用形
格助詞
係助詞
格助詞
係助詞
恨みマ行上二段活用「うらむ」の未然形
ざら打消の助動詞「ず」の未然形
まし反実仮想の助動詞「まし」の終止形



著者情報:走るメロスはこんな人

学生時代より古典の魅力に取り憑かれ、社会人になった今でも休日には古典を読み漁ける古典好き。特に1000年以上前の文化や風俗をうかがい知ることができる平安時代文学がお気に入り。作成したテキストの総ページビュー数は1,6億回を超える。好きなフレーズは「頃は二月(にうゎんがつ)」や「月日は百代の過客(くゎかく)にして」といった癖のあるやつ。早稲田大学卒業。
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ベネッセ全訳古語辞典 改訂版 Benesse
全訳読解古語辞典 第四版 三省堂

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