重要語句のみ掲載しています。
■行く春を近江の人と惜しみけり
■先師いはく、「尚白が難に『近江は丹波にも、行く春は行く歳にも振るべし』といへり]。汝、いかが聞きはべるや。」
が | 格助詞の連体修飾格 | _ |
に | 格助詞 | _ |
も | 系助詞 | _ |
べし | 可能の助動詞「べし」の終止形 | _ |
り | 完了の助動詞「り」の終止形 | _ |
はべる | 尊敬・先師(芭蕉)→去来 | _ |
■去来いはく、「尚白が難当たらず。湖水朦朧として春を惜しむにたよりあるべし。ことに今日の上にはべる。」と申す。
べし | 適当の助動詞「べし」の終止形 | _ |
はべる | 丁寧・去来→先師 | _ |
申す | 謙譲・去来→先師 | _ |
■先師いはく、「しかり。古人もこの国に春を愛すること、をさをさ郁に劣らざるものを。」
■去来いはく、「この一言、心に徹す。行く歳近江にゐたまはば、いかでかこの感ましまさむ]。行く春丹波にいまさば、もとよりこの情浮かぶまじ。風光の人を感動せしむること、真なるかな。」と申す。
たまは | 尊敬・去来→先師 | _ |
ば | 接続助詞の順接仮定条件 | _ |
ましまさ | 尊敬・去来→先師 | _ |
む | 反語の助動詞「む」の終止形 | _ |
まじ | 打消適当の助動詞「まじ」の終止形 | _ |
の | 格助詞の主格 | _ |
しむる | 使役の助動詞「しむ」の連体形 | _ |
なる | 断定の助動詞「なり」の連体形 | _ |
かな | 終助詞の詠嘆 | _ |
申す | 謙譲・去来→先師 | _ |
■先師いはく、「去来、汝はともに風雅を語るべきものなり。」と、ことさらに悦びたまひけり。
べき | 適当の助動詞「べし」の連体形 | _ |
なり | 断定の助動詞「なり」の終止形 | _ |
たまひ | 尊敬・去来→先師 | _ |
けり | 詠嘆の助動詞「けり」の終止形 | _ |