はじめに
このテキストでは、万葉集の第5巻に収録されている「
梅の花散らまく惜しみわが園の竹の林にうぐひす鳴くも」(八二四)の現代語訳・口語訳とその解説を記しています。この和歌は、平成の次の元号である「令和」(2019年5月1日〜)の由来となった万葉集『
梅花の歌三十二首并せて序』に収録された32首のうちのひとつです。
原文
梅の花 散らまく惜しみ わが(※1)園の 竹の林に うぐひす鳴く(※2)も
ひらがなでの読み方
うめのはな ちらまくをしみ わがそのの たけのはやしに うぐひすなくも
現代語訳
梅の花が散ることを惜しんで、私の庭園の竹の林ではうぐいすが鳴くことですよ。
解説
少監阿氏奥島(=本名未詳)作の歌です。大伴旅人主催の梅花の宴にて詠まれた32首のひとつです。梅花の宴とは文字通り梅の花を題材とした歌を詠む会で、当時太宰府の長官であった大伴旅人を中心に開催されました。そのときに詠まれた32首にはすべて梅の花が含まれています。
単語・文法解説
(※1)園 | 梅花の宴で集まった大伴旅人宅の庭 |
(※2)も | 詠嘆の終助詞 |