「ともし/乏し/羨し」の意味・活用・使用例【形容詞シク活用】
このテキストでは、シク活用の形容詞「
ともし/乏し/羨し」の意味、活用、解説とその使用例を記しています。
形容詞・シク活用
未然形 | ともしく | ともしから |
連用形 | ともしく | ともしかり |
終止形 | ともし | ◯ |
連体形 | ともしき | ともしかる |
已然形 | ともしけれ | ◯ |
命令形 | ◯ | ともしかれ |
■意味1
うらやましい。
[出典]:万葉集
「風をだに恋ふるは羨し風をだに来むとし待たば何か嘆かむ」
[訳]:風の音にさえ恋しさを感じているのはうらやましいことです。風の音にさえ心をゆさぶられて相手が来るだろうと待っているならば何を嘆くことがありましょうか。
■意味2
珍しい、心がひかれる、慕わしい。
[出典]:万葉集
「心なき雨にもあるか人目守り乏しき妹に今日だに逢はむを」
[訳]:無情な雨なことですよ。人の目をはばかってめったに逢えない慕わしいあなたに今日は逢いたいと思うのに。
■意味3
少ない、不足している。
[出典]:閑居の気味 方丈記
「糧乏しければ、おろそかなる哺をあまくす。」
[訳]:食糧が不足していると、粗末な食事を美味しく感じさせる。
■意味4
貧乏だ、貧しい。
[出典]:
悲田院の尭蓮上人は 徒然草
「偽りせんとは思はねど、
乏しく、かなはぬ人のみあれば、おのづから、本意通らぬこと多かるべし。」
[訳]:嘘をつこうとは思わないのですが、
貧乏で、(自分の)思い通りにならない人ばかりがいるので、自然と思うようにいかないことが多いのでしょう。