あらぬ
このテキストでは、古文単語「
あらぬ」の意味、解説とその使用例を記している。
連体詞
■意味1
他の、別の、違った。
[出典]:上にさぶらふ御猫は 枕草子
「暗うなりて、物食はせたれど食はねば、あらぬものに言ひなしてやみぬるつとめて...」
[訳]:暗くなって、食べ物を食べさせたけれど食べないので、(この犬は翁丸だとは)別のものだと言い繕って(議論が)終わった翌朝...
■意味2
不適当な、望ましくない、とんでもない。
[出典]:重衡被斬 平家物語
「あつきころなれば、いつしかあらぬ様になりたまひぬ。」
[訳]:暑い頃なので、(重衡の遺体h)早くも望ましくない状態になってしまわれました。
■意味3
意外な、思いがけない、思いもよらない。
[出典]:
今日はそのことをなさんと思へど 徒然草
「今日はその事をなさんと思へど、
あらぬ急ぎ先づ出で来て紛れ暮らし、待つ人は障りありて、頼めぬ人は来たり。」
[訳]:今日はそのことをしようと思うのだが、
思いもよらない急用が先にできて(それに)気を取られて一日を過ごし、待ち人は差し支えがあって(来ず)、(来るのを)期待させない人は来てしまう。