『生年不満百』
ここでは『生年不満百』の書き下し文・現代語訳とその解説を行っています。
白文(原文)
左から右に読んでください。
生 年 不 満 百
常 懐 千 載 憂
昼 短 苦 夜 長
何 不 秉 燭 遊
為 楽 当 及 時
何 能 待
来 茲
愚 者
愛 惜 費
但 為 後 世 嗤
仙 人
王 子 喬
難 可 与 等
期
書き下し文
生年百に満たざるに
常に千載の憂いを懐く
昼は短くして夜の長きに苦しむ
何ぞ燭を秉(と)りて遊ばざる
楽しみを為すは当に時に及ぶべし
何ぞ能く来茲を待たん
愚者は費を愛惜して
但だ後世の嗤(わらい)いと為るのみ
仙人王子喬
与(とも)に期を等しうすべきこと難し
現代語訳(口語訳)
生きられる年は百年にも満たないのに
いつも千年先のことを心配しています。
昼は短い、そして夜は長いと苦しむのならば
どうして燭台を手に遊ぼうとしないのですか、(すればよいではないですか)。
楽しいことをするためには、時期を逃さずに楽しむべきです。
どうして来年を待つことができましょうか、(いや待てません)。
愚か者は(楽しむための)出費を惜しみ
ただ後世の笑いとなるだけです。
(不老不死といわれる)仙人の王子喬と
一緒に寿命を同じくすることはできないのです。
解説
■句形と押韻
この漢詩は、「
五言古詩」という形式の詩です。「五言詩」と「古体詩」が組み合わさったものです。
■五言詩
五つに並んだ漢字からなる詩を「五言詩」と言います。
■古体詩
古体詩とは、ざっくりと言えば「五言絶句、五言律詩、七言絶句、七言律詩」以外の詩を指すと考えてください。
■押韻
この漢詩では、次の2組が押韻となります。
・「憂」と「遊」
・「滋」と「嗤」と「期」
単語解説
何不秉燭遊 | 「何不A」で「何ぞAせざる」と読み、「どうしてAしないのか、すればよい(すればよいのに)」と訳します |
来茲 | 来年 |
愛惜 | 惜しいと思う、もったいないと思う |
但為後世嗤 | 生きている間に出費を惜しんで、死んだあとにお金だけが残っても、それは後世の笑いの種になるだけであることを言っている |
王子喬 | 周の時代にいたとされる仙人 |
期 | 寿命 |