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『遊山西村』現代語訳・書き下し文と解説(対句など)

著者名: 走るメロス
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『遊山西村』

ここでは、中国の政治家で詩人でもあった陸游が詠んだ詩『遊山西村』の書き下し文、現代語訳とその解説をおこなっています。タイトルは「山西の村に遊ぶ」と書き下します。「山西の村」とは「山の西側にある村」を「遊ぶ」とは「行く」を意味します。


白文(原文)

莫笑農家臘酒渾

豊年留客足鶏豚

山重水複疑無路

柳暗花明又一村

簫鼓追随春社近

衣冠簡朴古風存

従今若許閑乗月

拄杖無時夜叩門

書き下し文

笑う莫かれ農家の臘酒の渾れるを

豊年客を留むるに鶏豚足る

山重水複路無きかと疑ふに

柳暗花明又一村

簫鼓追随して春社近く

衣冠簡朴にして古風存す

今より若し閑かに月に乗ずるを許さば

杖を拄て時無く夜門を叩かん

現代語訳(口語訳)

農家の年の瀬にしこんだ酒が濁っていると笑わないでください

豊作でお客さんをもてなすには鶏も豚もたくさんあります(といって村に招かれた)。

(この村までの道のりでは)山や川が幾重にも重なりあい、道が行き止まりかと思っていると

柳の葉が道を暗くし花が明るく咲いているところに、もう1つ村があった。

笛や太鼓の音が私の後を追うように伝わってくる。春の祭りも近いことがわかる。

(村人たちの祭りの)衣装は素朴で昔風さが残っている。

これから先も、暇にまかせて月明かりにをたよりに出かけてきてもよいというならば

杖をついて時を定めず夜に(あなたの家の)門をたたくとしましょう。

解説(対句と詩形)

第一句と第二句は、村人が作者にかけた言葉、第三句と第四句は作者が村に着くまでの道について説明したもの、第五句と第六句は村の情景を説明したもの、そして第七句と第八句は作者が村人に対してかけた言葉となります。「第三句と第四句」、「第五句と第六句」が対句をなしています。

また、この漢詩は七つに並んだ漢字が八つの行からなる、七言律詩というスタイルをとっています。「渾(コン)」、「豚(トン)」、「村(ソン)」、「存(ソン)」、「門(モン)」が韻を踏んでいます。(押韻という)

単語解説

臘酒渾「臘酒」は臘月(12月)に仕込んだ酒のこと。「渾」は「濁る」という意味で本当は「濁」としたいところだが、押韻のために「渾」としている
山重水複山や川が幾重にも重なっている様子
簫鼓追随春社近「簫鼓」とは笛や太鼓のこと。この句は様々な解釈があることに留意
簡朴素朴な
若許「若A」で「もしAならば」と読む。現代語訳もそのまま「もしAならば」とする


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『教科書 高等学校 古典B 漢文編』 三省堂
鎌田正、米山寅太郎 著 2011 『新漢語林 第二版』大修館書店
『教科書 高等学校 標準 古典B 漢文編』 第一学習社

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