『最後の除目(兼通と兼家の不和)』
ここでは、大鏡の中の『最後の除目・兼通と兼家の不和(堀河殿、果ては〜)』の現代語訳と解説をしています。
原文(本文)
「堀河殿、
果ては、我失せ給はむとては、関白をば、御いとこの頼忠の大臣にぞ譲り給ひしこそ、世の人
いみじきひがことと、
そしり申ししか。」この向かひをる侍の言ふやう、
「東三条殿の官など取り奉らせ給ひしほどのことは、
ことわりとこそ承りしか。おのれが祖父親は、かの殿の年ごろの者にて侍りしかば、こまかに承りしは。」
続く
現代語訳(口語訳)
「堀河殿(藤原兼通)、しまいには、自分がお亡くなりになろうとするときには、関白の位を、いとこ君でいらっしゃる頼忠の大臣にお譲りになりましたが、世間の人は、ひどく間違ったこと(ご決断)だと悪く申しております。」
この人(このことを申し上げた人)の向かいに座っている人の言うことには、
「東三条殿(藤原兼家)の官位などと取り上げなさったときのことは、道理が通っていると思っていました。私の祖父は、あの殿(藤原兼通)に長年仕えた者でしたが、詳しく伺ったのです。」
続く
品詞分解
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『最後の除目・兼通と兼家の不和(堀河殿、果ては〜)』の品詞分解
単語解説
果て | しまいには |
いみじ | ひどい。「よい」という全く正反対の意味ももつので文脈から判断 |
ひがこと | 「ひがー」は正しくないを意味する |
そしる | 非難する、悪く言う |
ことわり | 道理 |