新規登録 ログイン

9_80 その他 / その他

平家物語原文全集「座主流 2」

著者名: 古典愛好家
Text_level_1
マイリストに追加
平家物語

座主流(ざすながし)

同じき十八日、太政大臣以下の公卿十三人参内して、陣の座につき、先の座主、罪科の事議定あり。八条中納言長方卿、その時はいまだ左大弁宰相にて末座に候はれけるが申されけるは、

「法家の勘状にまかせて、死罪一等を減じて遠流せらるべしと見えて候へども、前座主明雲大僧正は、顕密兼学して、浄行持律のうへ、大乗妙経を公家に授けたてまつり、菩薩浄戒を法皇にたもたせたてまつる、御経の師、御戒の師、重科におこなはれん事、冥の照覧はかりがたし。還俗・遠流をなだめらるべきか」


と、はばかるところもなう申されければ、当座の公卿みな、

「長方の儀に同ず」


と申しあはれけれども、法皇の御いきどほり深かりしかば、なほ遠流に定めらる。太政入道もこの事申さんとて院参せられたりけれども、法皇、御風の気(け)とて、御前へも召され給はねば、本意なげにて退出せらる。僧を罪する習ひとて、土円を召し返し、還俗せさせたてまつり、大納言大輔藤井の松枝といふ俗名をぞつけられける。

つづき

Tunagari_title
・平家物語原文全集「座主流 2」

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
梶原正昭,山下宏明 1991年「新日本古典文学大系 44 平家物語 上」岩波書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 8,182 pt 
 役に立った数 0 pt 
 う〜ん数 0 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!