新規登録 ログイン

9_80 その他 / その他

平家物語原文全集「殿下乗合 3」

著者名: 古典愛好家
Text_level_1
マイリストに追加
平家物語

殿下乗合

資盛(すけもり)朝臣(あそん)はふはふ六波羅へおはして、祖父の相国禅門に、この由うっへ申されければ、入道大きに怒って、

「たとひ殿下なりとも、浄海があたりをば、憚(はばか)り給ふべきに、幼き者に、左右なく恥辱を与へられけるこそ、遺恨の次第なれ。かかる事よりして、人にはあざむかるるぞ。この事思ひ知らせ奉らでは、えこそあるまじけれ。殿下を恨み奉らばや」


とのたまへば、重盛卿申されけるは、

「これは少しも苦しう候ふまじ。頼政・光基なんど申す源氏共にあざむかれて候はんには、まことに一門の恥辱でも候ふべし。重盛が子どもとて候はんずる者の、殿の御出に参りあひて、乗り物よりおり候はぬこそ、尾籠(びろう)に候へ」


とて、その時事にあふたる侍ども召し寄せ、

「自今以後も、汝等よくよく心得(う)べし。あやまって殿下へ無礼の由を申さばやとこそ思へ」


とて、帰られけり。


続き
Tunagari_title
・平家物語原文全集「殿下乗合 3」

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
梶原正昭,山下宏明 1991年「新日本古典文学大系 44 平家物語 上」岩波書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 7,183 pt 
 役に立った数 1 pt 
 う〜ん数 1 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!

まとめ
このテキストのまとめは存在しません。