新規登録 ログイン

9_80 その他 / その他

平家物語原文全集「祇王 10」

著者名: 古典愛好家
Text_level_1
マイリストに追加
平家物語

祇王

独り参らむは、余りに物憂しとて、いもうとの祇女をもあひぐりしけり。そのほか拍子二人、総じて四人、ひとつ車にとりのって、西八条へぞ参りたる。さきざき召されける所へはいれられず、はるかにさがりたる所に、座敷しつらふて置かれたり。祇王、

「こはさればなに事さぶらふぞや。我が身にあやまつ事はなけれども、捨てられたてまつるだにあるに、座敷をさへさげらるることの心憂さよ。いかにせむ」


と思ふに、知らせじとおさふる袖のひまよりも、あまりて涙ぞこぼれける。仏御前これを見て、あまりにあはれに思ひければ、

「あれはいかに、日頃召されぬところでもさぶらはばこそ、これへ召されさぶらへかし。さらずはわらはにいとまをたべ。出で見参せん」


と申しければ、入道、

「すべてその儀あるまじ」


とのたまふ間、力及ばで出でざりけり。


続き
Tunagari_title
・平家物語原文全集「祇王 10」

Related_title
もっと見る 

Keyword_title

Reference_title
梶原正昭,山下宏明 1991年「新日本古典文学大系 44 平家物語 上」岩波書店

この科目でよく読まれている関連書籍

このテキストを評価してください。

※テキストの内容に関しては、ご自身の責任のもとご判断頂きますようお願い致します。

 

テキストの詳細
 閲覧数 8,438 pt 
 役に立った数 1 pt 
 う〜ん数 0 pt 
 マイリスト数 0 pt 

知りたいことを検索!