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蜻蛉日記原文全集「九月ついたちにおこたりぬ」

著者名: 古典愛好家
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蜻蛉日記

九月ついたちにおこたりぬ

九月ついたちにおこたりぬ。八月廿余日よりふりそめにし雨、この月もやまずふりくらがりて、此の中川も大川もひとつにゆきあひぬべく見ゆれば、いまやながるるとさへおぼゆ。世中いとあはれなり。門のわさ田もいまだかりあつめず、たまさかなる雨間(あまま)には焼米(やいごめ)許(ばかり)ぞわづかにしたる。

もがき、世界にもさかりにて、この一条の太政の大殿の少将ふたりながら、その月の十六日になくなりぬといひさわぐ。思ひやるもいみじきことかぎりなし。これをきくも、おこたりにたる人ぞゆゆしき。かくてあれど、ことなることなければ、まだありきもせず。


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・蜻蛉日記原文全集「九月ついたちにおこたりぬ」

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The University of Virginia Library Electronic Text Center and the University of Pittsburgh East Asian Library http://etext.lib.virginia.edu/japanese/
長谷川 政春,伊藤 博,今西 裕一郎,吉岡 曠 1989年「新日本古典文学大系 土佐日記 蜻蛉日記 紫式部日記 更級日記」岩波書店

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